蒼風の谷
煉獄
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
どうなっていやがる。サイモンが二人だと?
あいつが何人もいるはずがない。たぶんこれも魔法体。さっきの手順で行けば勝てる筈だ。
「「Reditus in A′r(空気の魔法)、Ingemisce delerent aliis(他を消し去る咆喉)」」
サイモンたちが両手を前に突きだし詠唱が合唱が始まりだす。
オレは直感的にヤバいと感じる。
「伏せろ!」
セリナに飛びかかって床に押し倒し、前後からくる魔法を避ける。
「ちょ、ちょっと……。」
「動かないでくれ。」
左手がやけに気持ちいいが背中で魔法が飛び交っている。起き上がれば消し炭になる。
魔法同士がぶつかり合い、弾け、光り、爆る。
しかし伏せているといってもいつまでも自分たちに当たらないわけではない。だんだん射線が下がり背中がチリチリする。
「セリナ!ゴメン!」
「え?」
セリナを俺の下から押し出し、右側の壁まで飛ばす。次いでオレも抜ける。
そしてサイモンたちの魔法が床を削り取る。
「大丈夫か、セリナ。」
「ぬぬぅ……。」
「?どうした?」
「カズヤ、これが終わったらちゃんと責任取ってよね。」
「なんの話だ?」
「それは、その……。兎に角、責任取ってよね!」
「は、はい!?」
責任どうこうっていわれてもオレがなにした?サイモンたちの魔法が迫ってきたから逃がしただけじゃないか。妙に左手が愉しかったけど。
「おやおや、平民というのは対戦相手を放置するのが礼儀なのかね?」
「すまんな、こっちで問題が発生してな。」
「そんなものはどうでもいい、一刻も早く消え去れ!」
どうやら後ろのサイモンは気が短いみたいだ。多分頭に血が上って正常な思考は出来ないだろうから先に叩くか。
「セリナ、片方頼む。」
「……分かった。」
何故かセリナさんが不機嫌モードに入っていらっしゃる。何かあったか?
しかし戦闘中に余計なことを考えれば一瞬で潰される。手の痺れも治ったし元の剣を持って突撃。
大振りの袈裟懸けは命中したが一人目と同じで通り抜ける。今度は魔力を纏わせヒットと同時に解放。サイモンは苦悶の表情を浮かべるが、お返しとばかりに魔法弾を放つ。
「おのれ、このボクを傷つけた代償、高くつくぞ!」
「そんなものオレの知ったことじゃない!」
「う、うるさい!黙ってボクのいうことをしていればそれでいいんだよ!平民風情がつけあがる!」
いちいちうるさい奴だ。これだから貴族は嫌いなんだ。
「消えやがれ!Dunkelheit・Magier!Hoch explosive Rupture(榴弾破裂)!」
剣を交えながら左手をサイモンの腹に当て、自身の高火力魔法を至
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ