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IS<インフィニット・ストラトス> ‐Blessed Wings‐ 
第二章 『過去と記憶』 ‐断片‐
第28話 『姉と妹』
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の力にもなれない、無力な私に対して私は悔しいと思うと同時に自分の無力さを噛み締めた。
力になりたい、そう思っても私には――何かを護るための力が無い。想いがあっても、力がないのだ。

力が欲しいかと聞かれれば私は真っ先に『欲しい』と答えるだろう。
だがそれは、その返答は何も考えてない私の返答だ。

怖かった。
恐れていた。
心のどこかで、迷っていた。

もし、もしも私が力を手にしたら――それに溺れてしまうんじゃないかと。
『また昔の私に戻ってしまうのではないかと』私はそう思った。
だからこそ、私は――力を欲しているのに、欲しくないと思っている自分が居た。

 恐らく、そんな力を欲する自分というのは私の本心だろう。
だが、過剰に力を欲する私は、私が自分手作り出した影だ。私自身の闇だ。

そしてそれを生み出したのは私自身であり、私の――皆に対する劣等感、コンプレックスだろう。

まず、悠、悠は才能として『一種の先読みに近い能力』を持っている。
周囲の情報を読み取って、それを即座に理解したうえでの瞬間的行動能力と先読み。
言い方がおかしいかもしれないが、言ってしまえば不確実性の大きい未来予測だろう。
そんな一種の化け物じみた才能、千里眼にも近いそれを持つ悠は間違いなく化け物だろう。

そしてアリア、アリアは近接戦闘能力と瞬間的な状況判断と反応速度が異常なのだ。
天才的な才能に、馬鹿げた反応速度。近接戦闘という面では間違いなく天才、いや――武術を嗜む私から見れば神域にすら達している。
彼女に対しての、私には無い才能を持つ彼女に対しての劣等感。私にはそれがあった。

セシリア、鈴、梓姫、全員を見ても正直並みの域を遥かに超えていて、達人か天才、そんな領域の人物ばかりなのだ。
そしてその中にいる私は――何があるだろうか。

剣道、という面で見れば同じ近接技術である以上アリアに劣る。そして私は剣道では少なくとも、梓姫より弱い。

かといって、私はセシリアのように銃の扱いに秀でている訳ではない。
では、悠のように化け物じみた才能が私にはあるのだろうか? 少なくとも、今の私には無い。

唯一誇れることがあるとしたら――それは諦めないという想いだ。
その想いと渇望だけは恐らく誰にも負けないと私は自分て思っている。

だが……そんな想いだけでは、どうにもならない。
私はセシリアのようにIS適正が高いわけではないし、皆や――千冬さんのように天才と化け物を噛み合せたようなものを持っているわけでもない。

ISの適正はCだし、周囲から多くの事を学習して強くなっていく一夏と比べれば私の才能は、正直そこまで凄いものではないと思う。

それでも、私は――友と最愛の人を護るための、隣に立つための力が欲しかった。
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