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SAO編−白百合の刃−
SAO10-白の剣士
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吐き出した。
 数は十。針山のように尖った髪型以外の人は全員オレンジ。つまり彼はグリーンと言うことになって、昨夜盗聴したのは彼になる。
 他の特徴としたら、全員盗賊。派手な格好して、全身に銀のアクセサリやサブ装備をジャラジャラぶら下げている。どこぞのチンピラ集団かよ。
 こんな相手……。

「シリカ?」

 シリカがコートの陰に姿を隠してきた。あんなわかりやすい小悪党なチンピラの笑みなんか怖がらなくていいのに……。
 けどシリカは彼らの嫌悪を嫌がり離れず、小声で(ささやき)きかけてきた。

「き、キリカさん……人数が多すぎます、脱出しないと……!」
「あんなチンピラ、ちょちょいのちょいだよ」
「こんな時に冗談言わず逃げましょうよ!」
「失礼ね、半分は本気なのよ」
「どうしてそんなに余裕でいわれるんですか!?」

 逆に考えてみると、怖がったら相手の思い通りになっちゃうんだよね……。どうも犯罪者はサドな人が多いみたいだし。
 そんなこと言うのなら、シリカを安心させたほうがいいわね。

「大丈夫。私が逃げろと言うまでは、転移結晶を用意して逃げればいいから。どこかに隠れて、そこで見てればいいよ」
「でも……!」
「いいからいいから」

 ポンポンとシリカの頭に手を叩き、チンピラ集団に近寄るように歩きだした。

「キリカさん……!」
「キリカ……キリカって!」

 急に私の名前を聞いた途端に、一人の賊が顔面蒼白にしながら数歩後ずる。

「全身白ずくめの格好……刀に細長い棍棒……『白の剣士』……白の剣士!? や、やばいよ、ロザリアさん。こいつ……ベータテスト参加者上がりの、攻略組だ……!」

 正確にはベータモドキだよ。知識はあるけど参加してないんだから。
 いつからつけられた二つ名である『白の剣士』と聞いた途端に、残りのメンバーの顔が強ばった。

「『白の剣士』って……攻略組でもトップクラスの『黒の剣士』と同格のソロプレイヤー……噂では名前が似ているから瓜二つからオセロのようにその名が与えられた……そんな奴が何故……!」

 針山の賊さん。説明ありがとうございます。ちなみに噂はあながち間違ってないから。言ったらいろいろと迷惑するだろうから敢えて言わないようにした。

「攻略組がこんなとこウロウロしてるわけないじゃない!」

 ロザリアが我に返ったように甲高い声で喚いた。

「どうせ、名前を騙ってビビらせようとしている、コスプレ少女に決まってる。それに、もし本当に『白の剣士』だとしても、この人数でかかればたった一人くらい余裕だわよ!」

 またコスプレって……全身白ってそんなにコスプレカラーなのか? そう言われると妙に恥ずかしいからやめてほしいわね。これが私の正装なのに……
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