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SAO編−白百合の刃−
SAO10-白の剣士
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していた。

「まぁ……いっか」

 花畑の中央に、白く輝く大きな岩に咲き誇る蘇生の花があるはずだ。いや、なきゃ困る、真面目に。
 ピナを蘇生して涙腺崩壊! 感動の再会を果たしてハッピーエンド!……と思った矢先だった。

「ない……ないよ! キリカさん!」

 シリカは振り返って、涙が滲みながら叫んだ。

「いやいや、まさかの無かったオチ!?」

 シリカの叫びに、流石に焦った私は駆け寄って探索すると、無かった理由がわかってホッとした。

「大丈夫だよ。もうピナに会えないなんていう絶望は訪れないさ」
「え?」
「見て見て」

 私はシリカの視線を岩の上に指した。

「あ……」

 無い理由は、元々ないからとか取られた理由ではない。
 柔らかそうな草の間に一本の芽が伸びようとしているところだった。

「これって……」
「運が良いわね私達」

 若芽はくっきりと鮮やかに姿が変わっていき、二枚の純白な葉が貝のように開く。そして中央から細く(とが)った茎がするする伸び、芽はたちまち高く太く成長する。やがて先端に内部から真珠色の光を放ちながら大きなつぼみを結んだ。
 現実世界にも滅多に見られない命の誕生に私達は息を詰めて見守っていると、徐々に先端がほころんで、シャランと鈴の音を鳴らしてつぼみが開き、光の粒が宙を舞った。
 小さな奇跡のように咲く白い花。
 七枚の細い花びらが星の光のように伸びて、中央からふわりふわりと光がこぼれては宙に溶けていった。
 これこそ、ピナを蘇生出来る生命の花。名は『プネウマの花』だ。

「これで……ピナを生き返らせられるんですね……」
「うん。さ、それを取って」

 シリカは花にそっと右手を伸ばした。絹糸のように細い茎に触れた途端、それは氷のように中ほどから砕け、シリカの手の中には光る花だけが残った。
 その花の雫をピナの心にかければいい。それで終わりになる。
 それはもう、ハッピーエンドと言っていいくらいの喜びが待ち受けているはずだ。

「よし! さっそくピナの蘇生……って言いたいところだけど、ここは強いモンスターが多いから街でやったほうがいいね。転移してもいいけど、貴重だから残したほうがいい。それでどうかな?」
「あ、はい! それでお願いします!」
「んじゃ、帰りましょう」
 
 無事にプネウマの花を入手したし、モンスターもさっきみたいにサポートに回れば無事に帰れる。
 シリカは今すぐにでもピナと再会したいところだろうとは思う。でも、何も言わないのは私を信じて我慢をしているからだろう。なら、私はそれに似合った行動を示さなければいけない。
 だが、幸いにも帰り道はほとんどモンスターと出くわすことなく駆け下るように進み、ふもとに到着できた。
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