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SAO編−白百合の刃−
SAO9-妹との距離
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しくは胴のてっぺんはひまわりに似た、黄色い巨大な花。なんだけど、口は牙むき出しでぱっくりと開いて内部の毒々しい赤をさらけ出している。そしてファンタジーにはお約束のツタを生やしている。分類は植物モンスター。それも歩く花だ。
 その植物モンスターをシリカは嫌がっていた。

「やだってば――!!」

 そんな嫌がるシリカを面白がっているのか、標的はシリカに定めており、ツタがにょろりにょろりと伸び襲いかかってくる。私なんか目にもしない。

「シリカー、目をつぶって短剣振り回しても当たんないからねー」
「だ、だってぇぇぇぇ」
「そいつは花のすぐ下の、ちょっと白っぽくなっているとこを狙えば簡単に倒せるから!」
「無理です! 気持ち悪いんですぅぅぅぅ――」
「うん。確かにね、確かに気持ち悪いし、ぶっちゃけ嫌いよ、私も。……でもね、世の中にはこれより気持ち悪い奴なんてたくさんいるんだよ。例えばそうね……ぬるぬるネバネバの触手が山ほど生えた奴とか」
「キエ――――!!」

 シリカは私が例えたモンスターを想像してしまったのか、悲鳴を上げつつ抵抗するように、無茶苦茶にソードスキルを繰り出した。だけど、無茶苦茶に振るっているので、ソードスキルは見事に空を切った。
 その隙に、二本のツタでシリカの両脚をぐるぐると捕らえ、ひょいと持ち上げられてしまった。

「わ!?」

 
 ……ちょっと惜しいな。なんてね。

「き、キリカさん! 見ないで助けてくださいよ!」
「やだ」
「やだ!? ど、どうしてですか!?」

 無理な体制になって、右手を持つ短剣でツタを切ろうとしてもうまくいかない。
 つまりどう言うことか?

「その体制だとキツいんじゃない? 両手で使えば抜けられるよ?」
「でも、そうしたら、み、見えてしまいますよ!」
「うん。私はそれが見たい」
「キリカさん!?」

 ちょっと、自分の変態発言には反省はするが後悔はしない。
 だって、そいつ弱いから、もしもの可能性があってもシリカを無事に助けることができる。だからまだ助けないでおこう。シリカの今後のためにも。
 そんなやり取りに巨大花は参加するように、楽しくおちょくるように吊り下げたシリカを左右にぶらぶら振り回す

「こ、この……いい加減に、しろっ!」

 やむえなくスカートから左手を離して、ツタの片方を掴むと短剣で切断した。ガクンと体が下がり、白っぽいところを狙って再度ソードスキルを繰り出す。今度は見事に命中し、巨大花の頭がコロリと落ちると同時に全体を含めて爆散。ポリゴンの欠片を浴びながら着地したシリカは振り返って訊ねてきた。

「……見ました?」
「見えたんだ」
「…………キリカさんって、意外とそう言う人なんですね」
「失望した?」

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