SAO編−白百合の刃−
SAO9-妹との距離
[4/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
今でも覚えている。
それはほんの偶然の出来事だった。偶然の出来事で、私は真実を知った。血が繋がっているのは兄だけで、父母、妹は血の繋がらない家庭だったということを、そして本物の家族はもうすでに亡くなっていることを知らされた。
正直、ショックだった。全部が全部、悪夢でいてほしかった。何も知らずに、のうのうと生きていた自分がなんだか惨めに感じた。今まで家族として暮らした日常は、全部が嘘だったんだと、騙された気がしてなかなかった。
そんな家族が憎かった。だから私は、本物の家族である兄しか味方はいないんだと思い始めた。
それが、間違いの始まりであった。
「それからの私は、母さんや父さんに反抗したり、妹とケンカしたりするようになっちゃった。特に妹のことは全然見なくてさ、私のことお姉ちゃんって呼ぶけど、本物じゃないのにそう呼ばれるのがムカついてしまって、存在自体が憎かった。私の本物の家族は、周囲に壁を作るくせに寂しがり屋である、双子の兄しか見ていなかった。中学からゲームにハマった時にはもう、仲良かった姉妹の仲は崩れてしまった。気がついた時は何もかも、父さんや母さん、妹の思い出を私は否定していたわ」
そして家族を否定したまま、私はこの世界に閉じ込められた。それでも良いとは思った。私がいなくなったことで、せいぜいするんだと思っていた。実際はどうだか帰ってみたいと分からないが、私のことなんていらないだろうと自分自身も否定していた。
だけど、皮肉にも私はゲームの世界に閉じ込められて自分を見つめ直すことができた。そして、自分の行いが間違っていることにも気づいた。
「今になって思うよ。たとえ血がつながってないのに、拾われた身だからって、父さんも母さんも、妹には何にも変わりなかった。今までの日常、妹の仲に全部が本物だった。血は繋がっていないけど、母さんも父さんは私を娘と接していたのに、妹はお姉ちゃんと呼んでくれていたのに、私はそれを全部偽物だと否定をした…………最低な人間だ」
お互いにこんな関係なんて望んではいなかった。当時を振り返ってみても、家族を否定して続けて楽しかったことなんてなかった。ただ虚しさが残るだけだってわかっていたはずなのに、頭でわかろうとしなかった。
気がついた時には私はアインクラッド、ゲームの世界。その時、私は取り返しのつかない後悔をした。
「きっと恨んでいるだろうね。こんな姉なんて、いないほうがいいに決まっている……」
ポロッと、私はシリカに弱音を吐いてしまった。言ったところで、家族の仲が直るわけがないのに
弱音の流れから涙を流しそうになった時、シリカがギュッと手を握られてた。
その手の感触に、穂のかな暖かさが包まれたような気がした。
「あたし……一人っ子で血が繋がって親
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ