SAO編−白百合の刃−
SAO8-痛みを知る者と知らぬ者
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三十五層主街区は、白い壁に赤い屋根の建物が並ぶ牧歌的な農村の佇まい。大きい街じゃないけど、現在は私達攻略組とは違い、中層エリアで最低限の経験値稼ぎと、生活に必要なコルを得るためなどする中層プレイヤーの主戦場となっている。そのこともあって、行き交う人の数はかなり多い。
私達は迷い森から帰って来て、大通りから転移門広場に入った時だった。
「シリカちゃん、俺とパーティー組んでくれ!」
「抜け駆けするなよ! 俺はお前より先にだな!」
「シリカた〜ん。俺と組んで」
「邪魔するな! こんな奴らより俺様と組んでくれないか」
我先に、ガヤガヤと男性プレイヤーがシリカにパーティーの勧誘をしていた。
『ビーストテイマー』だからって、誘われているわけじゃ……なさそう、ね。半分以上はルックスで誘っているに違いない。けど確かに、シリカは可愛いし、人気者だから男プレイヤーに誘われるのもわからなくないけど……。
もうちょっと、落ち着いたらどうなの? それで良いですよって、シリカが言えるとでも?
「あ、あの……お話はありがたいんですけど……」
受け答えが嫌味にならないよう、一生懸命に頭を下げて、彼らの勧誘を断ったシリカは、私に視線を送って言葉を続けた。
「……しばらくは、この人とパーティー組むことになったので……」
「ども」
シリカに紹介されたので、軽く挨拶をした。
そう言うことなのでね、悪いけどシリカを誘ったプレイヤーさんは、一先ず諦めてもらいたい。
……ちょっと。不満を上げて、うさんくさそうな視線をするのもわかるけど……。
「……好みじゃないな」
っておい、好みじゃないって口に出した奴誰だよ。私もシリカと同じ女だよ? それなのに、なんで扱い悪いの? そんなことする男子嫌われるって聞いたことないの?
「同性だからまだマシかもしれないが……ぶっちゃけ好みじゃないな」
そう言うことをハッキリと口に出すなよ。傷つくってことわかるでしょうよ!
「全身白……『KoB』か? いや、黒いラインはないな……」
「と言うことはコスプレ好きか? せめてメイド服にしろよ」
これは私が好きで色を選んで、着ているの。意味もあって、兄の黒づくめと比較するために白を着ているんだよ! あんたらに白の意味なんてわからないだろうね!
それと、誰か知らないがメイド服が好きとか知らないから。好みを押し付けるな!
「おい、あんた」
最も熱心に勧誘していた背の高い両手剣使いが、私の前に進み出ては見下ろす格好で口を開いた。
「見ない顔だけど、抜けがけはやめてもらいたいな。他の奴らより同性だからマシではあるが、俺らはずっと前からこの子に声かけているんだぜ」
だったら、少しは察しようよ。シリカ
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