SAO編−白百合の刃−
SAO8-痛みを知る者と知らぬ者
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い出しながら言う。
「どんなオンラインゲームでも、キャラクターに身をやつすと人格が変わるプレイヤーが多い。善人や悪人になる人。それをロールプレイって従来は言っていたんだろうけど、今のSAOの場合は違うと思うって……」
最初の頃は、そもそもの話、萱場晶彦が勝手に自分の操作プレイヤーと現実と一緒にしたから実感しなかったけど兄が教えてくれた。そしてその気持ちがわかってきた。
単純な話。ゲームと現実の自分は違う。現実の人とゲームで操作する自分の性格が一致するとは限らない。でも、所詮はゲームだから割り切るところがあるから善人や悪人にもなれる。
本来、SAOでもそうなるはずだったんだろう……。
「今は異常な状況になってしまったのにも関わらず、他人の不幸を喜ぶ奴、アイテムを奪う奴、殺しまでする奴が多すぎて、『ここで悪事を働くプレイヤーは、現実世界でも腹の底から腐った奴なんだと思ってる』って、友達は言っていた」
どうやら私が怖く言ってしまい、シリカが気圧されたような表情をしていた。
「ごめんね……」
萱場晶彦のせいで、SAOもただのゲームじゃなくなってきた。それこそ、ゲームではあるが遊びじゃない。アインクラッドの世界で悪事を働くってことは、現実世界も同じように悪事を働くんだろう。
そしてロザリアさんも、現実世界ではあんまり良い性格ではないんだろうな。
「きっと、ロザリアさんがあんな意地悪言うのは……痛みを知らないからだと思う」
「痛みですか?」
「そう。例えば、さっきロザリアさんに意地悪言われて傷ついたと思っているかな?」
「あ、はい……」
「もしも逆の立場だったら、シリカはロザリアさんに酷いこと言える?」
「え、えっと……」
シリカはしばらく考えて、違う立場からの自分に対しての答えを探している。数秒間経ってから「言えません」と答えた。
「でも、キリカさん。それとロザリアさんに何が関係あるんですか?」
「違いだよ。シリカとロザリアさんの違いは、痛みを知っているかの違い。シリカはロザリアさんが悲しんでいたとしても、シリカは傷つけるようなことをしない。でも、ロザリアさんはシリカが傷ついていることをわかっていながらも嘲笑って、人の悲しみをもっと傷つけようとしていたわ」
人の不幸を笑う者は。きっとそうだと思う。
最初のやり取りでそう思ったのが、シリカの使い魔であるピナがいないことを知りながらもわざと言葉にしてシリカを傷つけようとしていた。その表情に遺憾なんてなかった。
人の不幸を美味しいと思う人は、はっきり言えば嫌な奴だ。
「……やっぱり」
「やっ、やっぱり?」
「やっぱり……キリカさんは悪い人じゃなくて、優しい人なんですね」
その言葉
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