SAO編−白百合の刃−
SAO8-痛みを知る者と知らぬ者
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女について訊きたいことがある。
「さっきの人は知り合い?」
私の問いに、シリカは数秒間ためて、小さく頷いき口を開く。
「……ロザリアさんと言って、さっきまで一緒にいたパーティーの一人です」
「……そっか」
二人の様子から見て、そんなことだろうとは思っていたが、シリカの言葉で確信がついた。原因はどうあれ、ロザリアという女プレイヤーはいかにも他人の不幸が美味しいと思えるような人ね。シリカはロザリアに意地悪言われて、悔しかったんでしょうね。その原因で、ピナを失うことに繋がっているんだから。
でも、縁を切ったなら、もう二人が関わることはないだろうな。
訊きたいことは訊いたし、とりあえず、お腹空いたので食事をしよう。丁度、ウェイターが湯気の立つ、赤い液体が入ったマグカップが二つ持ってきてくれたのはベストのタイミングだ。
「乾杯」
コチンと、シリカが持つカップに合わせ、熱い液体を一口すする。スパイスの香りと甘酸っぱい味わい。
「……おいしい」
「そうでしょう。NPCレストランはボトルの持ち込みが出来て、私が持っている『ルビー・イコール』って言うアイテムなの。しかもカップ一杯で敏捷力の最大値が1上がる、おまけつき」
「そ、そんな貴重なもの……」
「貴重だからこそ、使うべきなんだよ。ほら、私のことを気にするなとは言わないけどさ、どんどん飲みなさいな」
「あ、はい」
私はホッとした。シリカは笑いながら、もう一口、ゴクンっと飲んだ。先ほどの沈んだ表情から、少しずつ元気を取り戻すことができた。
やがてカップが空になっても、シリカはその暖かさを惜しむようにしばらく胸に抱いていた。
「……なんで……あんな意地悪言うのかな……」
シリカはぽつりと呟く。
元気取り戻したと思っていたが、そんなことはなかったか。ピナを生き返るのを知っているけど、ロザリアという女プレイヤーにバカにされたんだ。それに、シリカはまだ若すぎる。精神的にきついところはあるだろう。
でも、そうね……今後のためにも教えたほうがいいわね。
「私もね、似たようなことを、あにじゃなくて、友達に聞いたんだよ。MMOはSAOが初めて?」
「初めてです」
「それじゃあ、私と同じか」
「き、キリカさんもですか!?」
「うん。でも、運良く友達がものすごく詳しい人だからなんとか助かっているんだよね」
シリカには申し訳ないが運良いなんて言えるような立場じゃないんだ。その相手が実の双子の兄で、SAOの中でも屈指の強さを持つ攻略組の一人の妹なんだ。単に親しい仲の関係と比べるものではない、兄妹の関係。そんなこと口にしたらずるいって言われそうね。
以前、誰かが兄のことをバカにされたことに対して怒った私に、兄から話したことを思
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