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SAO編−白百合の刃−
SAO8-痛みを知る者と知らぬ者
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の気持ちも。

「一時期の間だけなんだから、それくらいいいでしょ? 今回はちょっと特別なことがあるから、貴方達じゃ、頼りないからまた今度にして」
「なんだと? 俺達をバカにしているのか?」
「貴方達に言われたくはないよ! 誰だ! 私のこと、好みじゃないって言った奴!」
「俺だ」
「お前か!」

 人のこと考えずに好みじゃないとか言うな。私も女なんだから配慮とかしろよ。
 決めた。絶対にこいつらにシリカは渡さない。

「あ、あの、あたしから頼んだんです。すみませんっ」

 シリカはもう一度深々と頭を下げ、私のコートの袖を引っ張って歩き出す。まるで未練がましく手を振る男達から遠ざかりたいように。
 そのまま転移門広場を横切り、北へ伸びるメインストリートへと足を踏み入れる。ようやくプレイヤー達の姿が見えなくなると、シリカはほっと息をついた。

「す、すみません、迷惑かけちゃって」
「いいって、大丈夫だよ」

 本当はちょっと大丈夫じゃないんだよね。私って、あんまり女として見られてないのがちょっとショックだった。後、私も相手のことなんか全然気にしないのに、好みじゃないって言われると、ちょっとショックだわ……。
 別にいいけどね。こっちも願い下げだっつーの! 

「さっきのは……なに? 知り合い?」
「顔見知りのプレイヤーです。どうせマスコット代わりに誘われているだけなんですよ、きっと。それなのに……あたし、良い気になっちゃって……一人で森を歩いて……あんなことに……」
「え、えっと……その、何があったの?」
「……実は」

 シリカの話だと、些細な口論が始まりだった。
 二週間前、誘われた六人パーティーに加わり、『迷いの森』を冒険して主街区へ戻ろうとしたさい、回復アイテの配分の件でプレイヤーと口論してしまった。そのせいで、頭に血が上ったシリカは五人と別れた。話はそれだけで終わりだったら、愚痴話になるんだろうがそうもいかなかった。
 『迷いの森』でパーティーと別れたシリカは、地図を持っていなかったので、走り抜けて帰ろうとした。だが、予想以上に困難だった。知らない場所に転送されることを繰り返しているうちに疲労が困憊(こんぱい)になってしまいそうな時にモンスターに遭遇。それからはモンスター連戦のせいで、回復アイテムを尽きてしまった。そんな状態で、先ほど三体の『ドランクエイプ』に襲われ、今に至るという話をしてくれた……。

「ふぇ……」

 シリカが自分自身の行動を思い返した時、自然と涙が浮かんできたのを私は内心慌てしまうも、優しく頭を撫でてあげた。

「大丈夫。チャンスがあるんだから、何とかなるって」

 そう言うとシリカは涙を拭い微笑んだ。やっぱり人間は笑顔が一番ね。だから泣きそうになった時、
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