黄巾の章
第19話 「俺は……劉玄徳を万難から護る盾! 北郷盾二だ!」
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つければ濡れんだろ!」
彼は……私を抑えながら、下履をずり下ろした。
「いやああああああああっ!」
助けて……
助けて……
助けて……
助けて……盾二、さん。
助けて……ごしゅじん、さま。
つぷっ。
私の股に、何かが当たった。
「助けてぇぇぇぇぇ! ご主人様ぁぁぁぁぁぁっ!」
私は燃え盛る家屋に照らされながら、闇夜に泣き叫んだ。
その燃え盛る家屋が、突然爆発した。
―― 韓忠 side ――
さて、入れるか……
そう思ったときだった。
突然、周囲の家屋が爆発した。
「ぐあ!」
「ひいいっ!」
「な、なんだぁ!?」
周囲の兵どもは爆風に吹き飛ばされる奴、飛んできた木の破片で傷つく奴、逃げ出そうとする邑人を取り押さえようとする奴と様々だ。
「ちっ……家の中になに入れてやがった!」
もうちょっとだったのによ……そう思って振り向いたときだった。
炎の中から、黒い人影が近づいてくる。
「……まだ、邑に人が残っていやがったのか!」
俺は、下履を履きなおし、地面に突き立てた剣を取る。
「おまえら、中に誰かいるぞ。引きずり出して来い!」
俺の命令に、十人ほどが燃え盛る家の残骸を取り囲む。
その瞬間だった。
突然の爆発音とともに、取り囲んだ兵ごと家が吹き飛ぶ。
「な!?」
あまりの出来事に、俺は目を疑った。
爆音とともに巻き起こる突風に、顔を守るように身構える。
すると――足音が聞こえた。
木を踏み抜く音。
大地を踏みしめる音。
それはまるで……巨大な怒気の塊だった。
炎の中から現れたのは――黒ずくめの魔人だった。
「…………」
その魔人は、鋭い眼光を周囲に向け――
「……ぅぅぅぅぅぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
叫んだ。
そして消えた。
「「「「ぎゃああああああああああああっ!」」」」
!?
俺が悲鳴をした方を見る。
そこには……
「ヒッ!」
捕らえられていた邑人が息を飲む。
それもそのはずだ。
邑人を捕らえている俺の兵。
その頭が空に千切れ飛んでいる。
それも数十も。
俺は、それを呆然と見ている。
最初に見えた首が、ようやく地面に落ちようとする間に、その周囲にいた百を越える首が次々に飛ぶ。
それはまるで波のように見えた。
黒い風に、人の首が刈り取られていく。
そしてその風は、邑人を捕らえていた兵の半数を、最初の首が地面に落ちる刹那に全て刈り取った
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