黄巾の章
第19話 「俺は……劉玄徳を万難から護る盾! 北郷盾二だ!」
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劉備が死んだとしても。
影武者を立てることができれば……
(待て。俺はなにを考えている)
劉備は……桃香は……
おれ、は……
(『頼りにしてるよ、ご主人様』)
!!
彼女の声が聞こえた気がした。
そして視線の先には――
は、はは。
そうか……そうだったな。
俺は彼女に……頼りにされていたんだな。
……俺は、なにをバカなことを考えていたんだ。
「助けるに、決まってるじゃないか……」
彼女の信。
それは絶対に裏切れない。
それこそが俺の、不文律。
「俺は……劉玄徳を万難から護る盾! 北郷盾二だ!」
俺は、木から飛び降り、その場を駆け出した。
広間で子供二人を護ろうとする、彼女を見つけて。
―― 劉備 side ――
「なにしてんだ、テメェ……」
私を捕らえていた黄巾の人が、剣を向けてくる。
私はそれを見据えながら、震える身体に鞭を打つ。
「もう一度言います。こんな酷いことはやめてください。この邑の人たちに、なんの恨みがあるんですか」
私の背中には十歳ぐらいの男の子と、それより二〜三歳年下の男の子が隠れている。
私から離れた場所には、彼女の両親であろう人が他の黄巾の兵に取り押さえられていた。
「恨み……? 恨みねぇ」
私に答えている身なりのいい黄巾の人。
たぶん、将軍とか部隊を率いる立場の人だろう。
でも、その目は醜く濁っていた。
「恨みがなきゃ、殺しちゃいけねぇのか?」
その人は、そう言って薄笑いを浮かべている。
その姿は、邑を荒らしまわる賊と変わらない。
「恨みがあっても殺しちゃだめです! 話し合えばちゃんとわかりあえる筈です!」
「……は?」
私の言葉にその人も、周囲の黄巾兵もぽかん、と呆けた顔をして……爆笑した。
「「「ぶははははははっ!」」」
でも、私はその彼らを睨みつけている。
私の背中には、震え、縋る四つの手を感じる。
この子たちだけでも護らないと……
「ひ〜ひ〜……ふはっ! おもしれえ、おもしれえ姉ちゃんだ。頭がイカれてるようだな」
黄巾の将らしき人は、そう言いながらその手に持つ剣を、私の顎へ向ける。
「話し合えばわかる、ねぇ……何をどう話し合えばわかるんだ?」
「貴方達はなぜ蜂起したのですか? 何故、漢に逆らうのですか?」
「ふっ……そこからかい。まあいいや、おもしれぇから付き合ってやるよ」
その人は、剣を私の顎から引くと、その場に突き刺した。
「黄巾ってやつはただの不満の塊よ。喰えねぇ、金ねぇ、やることなすことうまくいかねぇ……そんな連中
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