暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
黄巾の章
第19話 「俺は……劉玄徳を万難から護る盾! 北郷盾二だ!」
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
けど。

 息を潜めているけど、特に反応はなし。
 あー……よかった。

「ふう……じゃあ、そろそろいい頃合ね」
「このまま坂から急襲すると?」
「うん。わたしの勘だと、たぶんそれで十分だと思うのよね」
「はあ……」

 やっぱ信じないわよね。
 呉の兵ならすぐに『応っ!』って反応してくれるんだけどなー。
 まーいっかー。
 たぶん、あの中に劉備って()いなさそうだし。

 勘だけど。

「んじゃ、いくわよー」
「そ、孫策様!?」

 わたしが剣を抜いて、馬で丘を駆け下りる。
 その坂下では、黄巾の一団が無防備な姿を晒していた。

 ほらほら。さっさとしないと、わたしだけで片付けちゃうわよー。




  ―― 盾二 side 宛近郊 ――




 あれから一刻。
 東へ分かれた部隊を追跡すると、人里が見えてきた。
 どうやらあそこに駐留する気らしい。

(桃香がこちらの部隊にいるなら、取り戻すチャンスだな)

 まずは、桃香がいるかどうかを確かめねばならない。
 俺は、部隊が邑に入るのを見届けると、林の中を回り込んで木に登り、陣容を見る。

 部隊はおよそ千ニ〜三百ほど。
 それに対して邑は……せいぜい数百だろうか。

 と、悲鳴と怒号が聞こえてきた。

(!)

 黄巾の兵が、邑の人々を虐殺しはじめた。
 何箇所かの人家に火を放ち、それを灯りに邑の人間を脅し、見せしめに殺し、邑の広間へと人を集めている。

 ギリッ!
 俺の歯が軋む。

(……無辜(むこ)の人間になんという)

 犬畜生にも劣る連中だ。

 俺とて一般人ではない。
 元傭兵でもあった。だから現代での非道も見てきている。

 軍事政権の軍が、ゲリラの村に対して虐殺するのも見た。
 対して、ゲリラが活動資金ほしさに関係のない街で虐殺を行うのも見た。
 だが、見慣れていることと、赦せる事は違う。
 それらは反吐が出る蛮行だ。

 今、眼下に繰り広げられる虐殺。
 下種(げす)……まさしく下種の所業だ。

(……敵の数は千ちょっと。やって()れない数ではない。だが……)

 問題は人質である桃香。
 彼女がここにいるか、まだ確認ができていない。

 そして、もしここに彼女がいて騒動を起こせば……人質として殺される可能性もある。

 彼女がもし死んでしまったら……この三国の時代はどうなる。
 完全に歴史が変わってしまう……

(いや、すでに歴史は変革しようと思ったはずだ。なにを迷う……)

 霞に告げた要望。
 彼女は「たぶん通るやろ」と言っていた。

 それが成れば……歴史は本当に変革するはずだ。
 ならば……ここで
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ