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めだかボックス 〜From despair to hope 〜
第20箱 残された者たち
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何か理由があったとして…

それは善吉には内緒だったとしても… 私には絶対に言う。

そういう子なのだ。

だから、失踪の理由は1つしかない。



≪十中八九… 何かに巻き込まれたのだろう≫



「さっ!善吉…!元気出して!ご飯!たべよっ! っとその前に…手を洗わなくちゃね?ほらっ!」

そう言い、善吉の手を優しく包み込み洗面所へ連れてゆく。





そして、その日は善吉が笑顔になる事は無かったが、涙は何とか止められた。

瞳お母さんは、必死に明るく振舞い、寂しさを拭い去っていたから……。


















善吉が寝静まった後。


「劉一…………。」


1人になったその時だけ…

人吉瞳は。

心配する…母親の顔に戻っていた。

もう1人の息子の事が……。

あの笑顔が。

初めて会ったあの時の乾いた表情から、変わっていった笑顔が……。

頭の中から離れない。



「必ず……。見つけて……。ちゃんと叱ってあげるんだからね……。勝手に何処かいっちゃいけないんだから……。」


そう呟き、家の外。

夜の闇へと歩き出していった。












そして、同日同刻。




【黒神家】




それは 人吉家よりもはるかに慌ただしい……


「そうだ!何としてもだ………何としても探し出すんだっ!」


こちらも…電話で誰かと話をしている。

黒神家の執事をしていた男性だ。

劉一が行方不明となったことは、もう既に黒神家にも伝わっていたようだ。

「そうだ!!全員出てくれ!頼む……なんとしても…劉一を探してくれ!!」

めだかちゃんが激を飛ばしていた。

辺りにいる使用人全てに子供が駄々をこねる様に……。

必死の形相で叫んでいた。






「……劉一… 何処へいったんだ… 私に黙って…」



今でこそ、平静を装ってはいるが…彼女も、善吉と同様…

一晩中泣いていたのだ。

そのめだかちゃんの雰囲気には変態(まぐろ)さえ 近づけない程のものだった。


「必ず… 見つけ出すから… 私に勝ったままなんだ!お前は!それに… 約束した… 大人に……高校生……で… お前の…答えを聞いてないんだ!私は……好……ッ!!好きなんだっ!大好きなのに……答えを聞けて……いないじゃないか……っ。」

まだ、涙は涸れてはいない様だ…

その瞳は薄っすらと…滲んでいた。












後ろから見ても解る。

めだかちゃんはまた涙
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