暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第5章 契約
第65話 魔眼の邪神
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じいばかりの物。少し気を抜けば、間違いなく精神を蝕まれ、次の瞬間には操られて居る事は間違いない。

 そう。あれは、一部の者たちの間では、間違いなく神として崇められた存在。

 一歩前に進み、彼女……崇拝される者ブリギッドの隣に並ぶ俺。
 呼気に因り……。いや、それ以外にもあらゆる手段により、外気から精霊力を集める俺。

 但し、今回に関しては、水の邪神の眷属神の時とは状況が違います。あの時は、腕の中に存在して居た湖の乙女と俺との間で精霊力をやり取りして、取り込んだ自然の気を俺と同じ霊気の質に変える事が可能でした。
 まして、あの時は土地神の加護を得ていた事に因り、龍脈自体を制御出来ましたから。

 しかし、今回はむき出しの精霊力。本来ならば、これは俺だけでは絶対に扱えない代物なのですが……。

 俺と共に在る少女が微かに首肯いた雰囲気を発する。
 そう、大丈夫。今は彼女が共に在る。

 一人(孤独)ではない。

 空中からうねり、のたくり迫り来る触手の群れ。ただ、今回はブリギッドの炎に対抗する為でしょうか。複数の触手が複雑に絡み合い、それぞれがそれぞれを強化し、俺たちに向かって来るその触手の先は、妙にキラキラと輝く結晶へと変わっていた。

 彼女(ブリギッド)の左側に並び、左脚を後ろに、右脚を前に。所謂、抜き打ちの構えを取る俺と、ブリギッド。
 月下に佇む二人の姿はほぼ同じ。

 そして、俺の徒手空拳の右腕に集まる精霊力が、蒼白き輝きを放ち、
 半身に構えた、女神ブリギッドの毛抜形蕨手刀に集まる炎の精霊力が、再び、太陽に等しい輝きを放つ。

 その輝きが、接近中の触手に触れた瞬間、触手が。そして、魔眼の邪神自体に、微かな萎縮に似た雰囲気が発せられる。
 しかし、それも当然の帰結。
 何故ならば、古の書物に記された、ヤツが苦手な物のひとつは晴明桔梗印(エルダーサイン)。そして、もうひとつの苦手な物は輝ける強き光。この地上に舞い降りたふたつの太陽に対して、ヤツが萎縮し、怯むのは当然。

 身体の内側で。そして、身体の外側にも凶悪なまでの霊気が満ちている。
 そう。この瞬間、俺と、俺の傍らに立つ少女神の周囲は、既に異界と化して居たのだ。
 一気に意識を失わせ暴走した俺の霊力が、邪神を滅ぼした後に、地上に計り知れない被害を与えるのは間違いないレベルの霊力が渦巻く異界。
 先ほど。……水の邪神の眷属を屠った時に感じた霊気以上のソレが、今、俺の周囲に存在しているのは間違いない。

 その霊気を自在に操り、間違いなく右腕へと導く湖の乙女。丹田に蟠る龍が螺旋を駆け登り、天頂から抜ける霊気と、琵琶骨を抜けて右腕に凝縮して行く霊気。
 イメージするは、放たれた光輝。
 そして、その光を導く言葉。……
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