第八章
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「それが必要でしたので」
「森のダークエルフ達を脅し買収し捕らえた者を拷問にかけイングリット家を使用人に至るまで殺したことはだな」
「全て必要でした」
そうだったというのだ。
「だからこそそうしたのです」
「そうなのだな」
「はい、それだけです」
「確かにな、政治は時としてはな」
どうしなければならないのか、ここでこう言った侯爵だった。
「だがそれが忌み嫌われることもあるな」
「私の様にですか」
「そういうことだ、そして卿はそれを受けるか」
「ありのままに」
そうするというのだ。
「それだけです」
「わかった、ではだ」
ここまで聞いてだ、侯爵は静かに頷いた。
「これからも頼む」
「そうさせてもらって宜しいのですね」
「少なくとも卿はやるべきことを果たした」
姫を護ったというのだ。
「それによって帝国、そして我々は救われるのだからな」
「だからですか」
「そうだ、いい」
結果が出たからだというのだ。
「これからも姫を護ってくれ」
「さすれば」
こうしてだった、ハイネルは引き続き姫の護衛役となった。だがその彼の評判は相変わらずのものだった。
やはりかなり悪い、侍女達まで彼を見て眉を顰めさせて囁く。
「姫の護衛には向いていませんね」
「全くですね」
「あの様な危険な方を姫様の護衛とは」
「何時姫様のお命を狙うかわかりません」
「その危険はありますね」
彼女達も彼を信頼していなかった、それも全く。
「女子供まで殺す様な者、何をするか」
「そのうち何をするか」
「騎士にあるまじき方です」
「そうですね」
こうした話をしていた、だが姫はだった。
その彼女達にだ、優しい声でこう言うのだった。
「ハイネル卿は私の為に働いてくれている方です」
「だからですか」
「こうしたことはですか」
「話さない様に御願いします」
そうしてくれというのだ。
「是非共」
「ですがあの方は」
「やはり」
「そうしたことを言うことは間違っています」
姫は陰口自体を否定した。
「ですから、いいですね」
「姫様が仰るのなら」
「それなら」
侍女達は黙るしかなかった、そして。
姫はハイネルにはだ、微笑んでこう言ったのだった。
「これからも御願いしますね」
「そうさせてもらっていいのですね」
「宜しく御願いします」
優しい微笑みでの言葉だった。
「是非共」
「有り難きお言葉、それでは」
「わかっているつもりですので」
彼にだ、こうも言ったのであった。
「辛いこともまた」
「お気になさらずに」
ハイネルは表情を消してこう応えるだけだった。
そうして彼は姫の護衛を続けた、その為には常に手段を選ばず姫を害しようとする者には何の容赦もしなかっ
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