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ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第23話 魔の森に在るモノ
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の内容に、私達は驚きを隠せませんでした。

 手記を残したのは、ドリアード家のもう一つの分家であるドライアド家の人間でした。

 ドリアード侯爵は、“木の精霊”との交渉役を担っていた家系でした。精霊の祝福により、作物も驚くほど良質な物が収穫出来ていた様です。約1500年前にドリアード侯爵は、木の精霊と交渉し森の一部を開拓したようです。これによりドリアード侯爵領は、トリステイン王国に大きな富をもたらしました。

 しかし、それを面白くないと考える者達がいました。それは他のトリステイン貴族と、ロマリアの神官でした。当時精霊との交渉役は、ブリミル教に反する公に出来ない役職とされていた様です。これを利用しドリアード侯爵縁者を、異端審問で皆殺しにしたのです。馬鹿貴族達は残った領地の争奪戦を開始し、ドリアード領は荒れに荒れたそうです。

 領地の争奪戦が一区切りした時、次に手を出したのが精霊の住む森でした。木の精霊はそんな人間達に対抗する為に、幻獣・魔獣を呼び集めます。これに対して馬鹿貴族がとった行動は、木の精霊の討伐でした。終に木の精霊は怒りをあらわにし、討伐隊を壊滅させ森が広がり始めました。そして精霊の森が住み良いと判断した亜人達は、続々と精霊の森に集まって来ました。

 ……これが魔の森誕生の秘密でした。

 精霊の怒りにふれたロマリアの神官達は、これ以降精霊に手を出さない方向で教徒達を指導する様になりました。国も精霊との交渉役を、名誉職として大切にする様になったのです。

 手記を書いたのはグンナーと言う男でした。彼はドライアド家の私生児で、そのおかげで異端審問の難から逃れる事が出来た様です。各地を転々として、最終的にドリュアス家の元使用人に匿われたそうです。そして彼が生涯を終えた後、この手記をもみ消される事を恐れた使用人の孫が、ドリュアス家の資料庫に隠したと記されていました。

 手記を読み終えた私達は、溜息しか出ませんでした。おそらく当時の国のトップが、関わっていたのでしょう。でなければ王宮資料庫に出入りし、資料を処分する事など出来ないでしょう。また、噂も残っていなかった事から、余程強力で巧みな緘口令が敷かれていたと思われます。






 いつの時代も、権力におぼれた馬鹿は本当に救い様が無いです。

 そして今更、精霊と交渉など出来るのでしょうか? 新たに出て来た問題に、私達は頭を抱えてしまいました。
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