十二話
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「ふむ……。ならば私にやってみてくれ」
そう言い、軽く鉄鞭を構えた自然体でニーナはレイフォンの前に立つ
レイフォンの言わんとするところを理解するために。そしてあわよくば、実際に金剛剄をより使ってみたいがために
「……分かりました。じゃあ、さっきより少しだけ早く振るので、金剛剄を使ってみてください」
「分かった」
了承を受け、レイフォンがゆっくりと振りかぶる姿を見、ニーナは内心で少しだが逸る心を自覚し、そんな自分にひそかに苦笑する
????そして、一瞬で変わった世界に自分の浅はかさを理解することとなる
レイフォンが手を振り下ろそうとすると同時、ニーナの世界が一変する
今まで感じたことのない剄力が、一度としてぶつけられたことのない色の圧力がニーナの体を押さえつける
かつて窃盗犯に追いかけられた時とは次元の違う殺気に、その後怪我を負った時とは違う明確な死の気配に思考が停止する
「あ………」
知らず薄く開いた口から出た言葉は意味をなさず雑音として漏れ、指一つ動かせぬ世界の中で目は唯一動く相手を見続ける
モノクロに感じる世界で自分に迫る色≪死≫を前に、避けようとも思えず、動こうとも思えず、ましてや防ごうなどと考えが働かず視線が釘付けになる
(動かなきゃ。でもどこから? 防がなければ……だが何をだ?)
(今目の前にあるのは何だ? 金剛剄とは何のことだ? ああそうだ剄を練らなければ。……剄とはどう練るのだったか………)
極端に落ちた思考の中、ただ一つ鮮明に映る死が直前に迫り?????
????世界に色が戻る
「????っう、あ」
不意に自由を取り戻した体に一瞬硬直し、腕に持つ二つの重みから前に傾いた体を支えようと後ろに力を入れ、支えが効かずにそのまま後ろに尻餅をつく
ドサッという音と共に響く衝撃にニーナは思考が戻り、見上げればレイフォンの持つ鉄鞭が、ニーナに当たる寸前だったであろう位置で静止している
そんなニーナを見て、レイフォンは鉄鞭を戻す
「ええと、分かりましたか?」
「あ、ああ。良く分かった」
「何というか、凄かったね。僕にも空気が変わったのが分かったよ」
ある程度離れていたであろうハーレイさえも感じたあの圧力
今更ながらに背筋に感じる冷や汗に、温まっていた体から熱さが消え、冷たさが際立つのを感じ、自分の認識不足を理解する
さきほどの空間で、自分は何一つできなかった。教えられたばかりの金剛剄を使おうという考えすら起きえなかった。タイミングを合わせて行うということは、それすなわち自身に迫りくる脅威から一切目をそらさず、瞬きひとつせずに真っ向から向かうとい
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