十二話
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はもう少し速く、強めに……」
鍛錬が終わってその日の夜。ニーナは自室にて錬金鋼を復元し、片手で鉄鞭を持ってもう片方の手に当てるというのを繰り返していた
鍛錬の際には納得したが、やはり金剛剄のことが気になってしょうがないニーナは自室にてその訓練を行っていた
場所がいるわけでもなく、周囲に衝撃を生むでもなく一人で簡単にできるため、ニーナはひたすらに片方の手にある鉄鞭でもう片方の手を打つという動作を行い、だんだんとその速さと力を上げていく
そんなニーナが、翌日凄まじい筋肉痛になるのは別の話
そして調子に乗って強く打ちつけ過ぎ、技をしそこなって腕の骨に罅が入り悶絶するのまた、後の話
「それは確かなのだな?」
「ええ。サヤの眠る地から来たあの少年の中には、確かに茨の棘が確認できました」
「よく気づいたものだな」
「我らの力を必要とするだけの力を持つものが、あなたの家でその片鱗を見せたが故です。子らの母として、他の者よりもサヤに近い私ならば残滓程度は見分けられます」
「ならば、始祖の都市の姫は眠りから覚めたのか?」
「いえ、まだ眠りからは覚めていないようです。ですが……」
「ああ。守護者がいるという事は、既に祖の眼を受け継いだものが現れたという事。まだ先であろうが、目覚めが、伝説が始まる予兆やも知れん。可能ならば、そ奴に聞いてみるのもよかろう」
「あなたが動いてくれるのですか?」
「何も知らなくとも力を見ることは出来よう。棘を刺されたという事は、伝説の側に踏み込みかけているという事。ならばその力を見るのもまた一興。運命に選ばれる前ならば、我らの陣営に組み込めるやもしれん」
「そうですか……では」
「ああ、儂が動こう。小僧の相手を務めるのも老体の仕事の一つよ」
他から廃絶された空間で、その会話は行われる
周囲を包む闇を照らす光は人ならぬ存在が放つ明りのみ。交わす言葉を終えたその空間に、確かな鼓動が響き始める
そして、黄金の輝きが動き出す
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