十二話
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「三番に水運んでー!」
「八番オーダーです! 十二、二十五、二十七、三十二、三十三で十二が大盛り!」
「六番のお客様が会計だ! 誰か空いてるやつレジに行け!」
「七番の料理遅いぞ、早くしろ!」
「あの、お皿洗い終わったんですけど……」
「洗い終わったやつは拭いて棚に積んどけ。直ぐに次が来るぞ新入り」
時刻は昼。場所は食堂の厨房
かきいれどき故の慌ただしい中、レイフォンはただひたすらに送られてくる皿を洗っていた
「いやー、お前さんのおかげで助かったよ。一人なのに四人分こなしてくれるからな。おかげで料理の方にだけ集中できる」
「皿洗いとかは、結構慣れてますから」
「その歳で結構なことだな。最初は子どもなんか使えるかと思ったがいい買い物だったよ。流石に四人分は出せないが、色は付けさせて貰うよ」
そういいながら店主は帽子を外し、控室の椅子に腰かけて力を抜き、レイフォンも近くの椅子に腰を下ろす
既に昼時のピークを過ぎ、人影もまばらになっており席も空いてきてたためにこうして休んでいる
ここはシュナイバルの街中にある食堂にして、レイフォンのバイトの一つだ
レイフォンは今現在、ニーナの教導も含めて五つのバイトを掛け持ちしている
既に今現在、キャラバンの護衛の仕事はないも同然であり、グレンダンとは違い弟たちの世話などがなく一人であるため時間が十分あったためのものだ。本当はもう少し入れようと思ったのだが、あまり詰めすぎると良くないと仲介を頼んだシンラに咎められ、週に一日だが休みを取った方がいいとも言われたがためにその数になった
「にしてもすごいもんだな。一人だと思ったら四人に増えるなんてよ。そのおかげで人件費も削れ作業も早いのなんの。俺も武芸者だったら使いてぇぐらいだ」
「はは……」
豪快に笑う店主に苦笑いしかレイフォンは返せない。そもそも彼がレイフォンを褒めるのにはレイフォンの作業の速さだけでなく、使った技が関係する
その技の名は千人衝。ルッケンスの秘奥ともいわれる化錬剄の技である
自分の分身を剄によって作り出す技であり、そのすべては実体を持つ。それゆえ、掃除や皿洗いなどといった単純作業には非常に向く技ゆえレイフォンは使った
作った分身は三体。都合四人であり、実質ひとりなのだからその分の人件費が浮くのだ。そして真面目で愛嬌もあり仕事もなかなかに早い。それ故、店主はレイフォンをべた褒めする
「それよりよ、坊主この後暇か? お前さんたしかもう上がりだったよな。まだ昼食ってないだろ。よかったら賄でも作ってやるよ」
「いえ。ありがたいんですけど、この後別の用事があるんでもうすぐ行かなきゃならないんです。お菓子なら持っているんで」
「なんでい。旨いもん作ってやろうと思ったのによ。ガキな
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