第三章
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衛兵達は快諾してくれた、だが。
「撮るんならあのソ連の時みたいじゃなくてさ」
「もっと砕けた感じでいいかな」
「皆笑顔で肩を組み合ってとか」
「そういうのでいい?」
「面白い感じでさ」
こう話してそうしてだった。
撮影はそうした砕けたので頼むというのだ。ボロドフスキーも妻もそれでいいと応えた。
それで笑顔で肩を組み合う衛兵達の撮影となった。ボロドフスキーは撮影を終えてから妻に明るい笑顔で言った。
「いや、こういう写真もな」
「いいわね」
「格好いい姿を撮ろうと思っていたけれど」
最初はそうだった、だがだった。
「こういう写真もいいな、兵隊さんもな」
「強さだけじゃないっていうことね」
「兵隊さんだって人間だからな」
軍人もまただ、それでだった。
「こうした笑顔があるのも当然だろ」
「そういうことね。じゃあこの写真も」
「いい写真だったよ」
またしても満足のいく写真だった、そうして。
モスクワを出てロシアの各地を回った、街も村も鉄道の中も。
笑顔もあれば悲しい顔もある、老人も子供もいる。
ボロドフスキーはその様々な人々を撮っていった、そしてだった。
勿論プーチンも撮った、それで言うことは。
「やっぱりあの人はな」
「怖いわね」
「隙がないな」
その立ち居振る舞い自体がだ。写真になってもだ。
「映画に出て来そうだな」
「そうね、本当にね」
「それも悪役で最後に出る感じの」
そlこまでだというのだ。
「いや、それだけにいい写真が撮れたよ」
「その写真も写真集に入れるのね」
「ああ、入れるよ」
もう決めたというのだ。
「あの人は入れないとね」
「はじまらないのね」
プーチンもまた外せなかった、ロシアを写真集にする中では。そして。
ある母娘の写真も見た。ボロドフスキーは自分が撮影した笑顔の母娘、十八位の娘と四十位の母を見て苦笑いを見せた。
「同じ顔の母娘なのにな」
「ええ、十八と四十位よね」
「歳月だな、これは」
見れば娘は妖精の様だ、だが母親は。
「ビヤ樽みたいだな」
「私も人のことは言えないけれどね」
「まあそれを言えば俺もだけれどな」
夫婦で苦笑いになって話していく。
「俺にしてもな」
「私もね。けれどね」
それでもだった。
「本当にロシアよね、これも」
「我が国の場合は歳取ったら太るからな」
ロシアの女性の特徴である。
「男もだけれどな」
「それ世界的に言われてるわよ」
「太った方がいいしな」
これは防寒対策だけではない、ロシアでは。
「頼もしいからな」
「そう、それでよ」
妻もその通りだと返す、ロシアでは太っていないと頼もしくないというのだ。ロシア独特の考え方の一つである。
「だからこれでいい
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