第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「向上心は、ですが」
「それでもですか」
「そういえば神父様は先程今は、と仰いましたね」
オーナーはこのことを指摘した。
「そうでしたね」
「はい、確かに」
「といいますと今後は」
「向上心はいいのです」
この感情はいいというのだ。
「それは人を引き上げるものです、それであるうちは」
「けれどそこに、ですね」
「嫉妬やそうしたものが入りますと」
何処でもあるものだ、他者にそうした感情を抱くということは。そしてそれがここで入ってしまえばというのである。
「ここにいる生霊達がそうした感情に支配されますと」
「ここはそれこそ悪霊のハウスになる」
「そういうことですか」
「そうです」
神父はこう答えた。
「その危険があります」
「ではどうすれば」
「まずここに聖書を置いて下さい」
言うまでもなくキリスト教の聖典である、これだけであらゆる魔を払うとされている。
「そして十字架も」
「よからぬ連中をそれで、ですか」
「清めますか」
「塩と松脂もあるといいでしょう」
こちらもだった、こういったものもよからぬものを清めるものだ。
「そして聖水も」
「色々ですね」
「どうもこの教室は人の念が集まりやすい場所なので」
だからだというのだ。
「用心されて下さい」
「この教室はそうだったのですか」
「人の念が集まりやすい場所だったのですか」
「はい、そうです」
その通りだとだ、神父は二人に答えた。
「レッスンをする為上達したい、よりよくなりたいという念が多いせいもありますが」
それにだというのだ。
「元々この場所がです」
「そうした場所だからですか」
「ここは」
「はい、気をつけて下さい」
そうして細心の注意を払ってだというのだ。
「悪霊が来ない様にして下さい」
「はい、それじゃあ」
「今は」
こう話してそしてだった。
二人は神父に言われるまま教室に聖書や十字架、それに塩や松脂を置いた。生徒達が気付かない場所にだ。
そうして結界の様なものを作った、するとだった。
生徒達がだ、こう話したのだった。
「何か綺麗になった感じがしないか?」
「ああ、そうだよな」
「教室全体の空気がな」
「そんな感じだな」
こう話すのだった、教室の中で。
「これまでと大して変わらない筈なのにな」
「空気が違ってきたか?」
「澄み切った感じになって」
「よくなったな」
「今まで以上に」
空気が変わった感じがして、それでだった。
「レッスンにも身が入るな」
「ああ、純粋に向上心が湧くな」
「今以上に頑張ろうってな」
「そう思えるな」
こう話すのだった、彼等は。
そのうえで実際にレッスンに励む、彼等はその理由を知らない。
だがコーチはだ、オー
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ