第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
そのうえですごすごと村から出て行きました、村には平和が戻りました。
全ては熊さんのお陰でした。牛さんと猫さんはその熊さんに尋ねました。
「あの、どうして戦わなかったんですか?」
「そのことが気になったけれど」
「そのことかい?」
「はい、僕に注意した時も言葉だけでしたし」
「あの猿達に力を見せただけじゃない」
二匹は熊さんと楽しく飲みながら言うのでした。三匹で飲むお酒はとても美味しいです。
「どうしてなんですか?」
「熊さんの腕と爪を使わなかったんだい?」
「使う必要がないからだよ」
これが熊さんの返事でした。
「だからだよ」
「使う必要がないから」
「それでなんだ」
「そう、実際にあれで済んだじゃない」
物凄く大きな重い藁の束を持っただけで、です。
「あれでね」
「力を使うまでもなかった」
「そうなんだね」
「そうだよ、力を使う必要がない時はね」
その時はというのです。
「あれでいいんだよ」
「僕の時もなんですね」
「牛君は実際に言ってわかったよね」
そうなったというのです。
「そうだよね」
「はい、それは」
「言ってわかる人には言うだけでいいんだよ」
熊さんは牛さんに穏やかな言葉で言いました。
「言っても聞かない人にはね」
「力を見せてですか」
「それで済ませればいいんだよ」
「でもそれでも暴れる人は?」
「その場合は仕方ないよ」
熊さんは少し残念な顔になって答えました。
「力を使うよ。けれどね」
「それでもなんですね」
「うん、力を使うことは最後の最後で」
熊さんのその腕や爪をというのです。
「それに暴力になるとね」
「いけないんですね」
「力を使う場合でも極端なことになったらいけないんだよ」
「暴力はですか」
「そうなったらあの猿達と同じだからね」
村を荒らし回って熊さんに追い出されたあの猿達とだというのです。
「だから僕はいつもね。まずは言葉から注意してね」
「それで力を使うことも」
「最後の最後にしているんだよ」
「そうだったんですね」
「そう、そうしているんだ」
こう牛さんにお話するのでした、そして。
猫さんもここで言いました。
「それが熊さんだね、熊さんは本当に優しい人だよ」
「僕は優しいかな」
「本当に優しい人は力っていうものをわかっていてね」
猫さんは飲みながら熊さんにお話します。
「他の人を気遣える人だからね」
「だから僕は優しいのかな」
「うん、熊さんは凄く優しいよ」
熊さんをじっと見てお話します、熊さんもその猫さんを見ています。
「だからこれからもずっとね」
「ずっとなんだね」
「その熊さんと友達でいたけれどいいかな」
「うん、それじゃあね」
「僕も」
牛さんも話に戻っ
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ