第三章
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「ここはね」
「そうするんですか?」
「熊さんが行くんだ」
「そうするよ、このままだといけないから」
「けれどあの連中は」
「暴力さえ厭わないよ」
牛さんと猫さんは牧場で牛さんが囲まれたことからお話しました。
「本当に何をするかわからないから」
「熊さんにもね」
心優しい熊さんを気遣っての言葉です、牛さんも今では熊さんのことがわかったので慕っているのです。
「だから危ないですよ」
「棒とかも使うし」
「それでも任せてくれるかな」
熊さんは二匹にまた言いました。
「ここはね」
「熊さんがそこまで言うのなら」
「それじゃあね」
二匹は熊さんの言葉を受けました、そしてです。
熊さんは牧場を好き勝手に荒らし回っている猿達のところに行きました、そのうえでこう言ったのでした。
「君達、ここは皆の場所だからさ」
「ああ!?何だよ手前は」
「一体何だよ」
「村の熊だよ」
こう名乗りました。
「ただのね」
「その村の熊が何だよ」
「俺達に用かよ」
「だからここは村の皆の場所だからね」
それでだというのです。
「好き勝手しないでくれるかな」
「ここから出て行けってのかよ」
「俺達が」
「とどのつまりはね」
そうなるというのです。
「ましてや君達草とか食べないじゃない」
「そんなのどうでもいいだろ」
「俺達はここが気に入ったからな」
「気に入ったとかそういう問題じゃないからね」
熊さんは猿達、周りを囲んで凄む彼等に背筋を伸ばしたまま言っていきます。牛さんと猫さんはその熊さんを離れた場所からはらはらしながら見ています。
その二匹を背にしてそして言う熊さんでした。
「だからね」
「出て行けかよ」
「そう言うんだな」
「入ってもいいけれど勝手に自分達のものにしたら駄目だよ」
「結局同じだろうがよ」
「俺達のものじゃないっていうんだからな」
「違うよ、だから皆のものは皆のもの」
また言う熊さんでした。
「だからここの占領は止めてね」
「嫌だって言ったらどうするんだよ」
「どうなんだよ」
猿達は熊さんにさらに凄みます、本当に柄が悪いです。
「俺達をどうするんだ?」
「殴りでもするのかよ」
「こうしようかな」
猿の中で一番嫌な顔で騒ぐ猿を見下ろしてその猿に言いました。
そして傍にあった物凄く大きな草の束、猿達全てを合わせたよりも重そうなそれを両肩に担いでみせたのです。
そうしてからです、猿達にあためて問いました。見れば猿達はその熊さんを見上げて青い顔になっています。
「どうかな」
「な、何だよこいつ」
「物凄い力だな」
「熊ってこんなに強いのかよ」
「化け物かよ」
「それでだけれど」
猿達にさらに問います。
「どうかな、村から
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