第三章
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「赤穂浪士と桃太郎侍はもうやったしな」
「いや、ちょっと待て」
「もういい加減にしろ」
友人達も流石に呆れてきて止めに入った。
「殆ど仮装大会になってるぞ」
「桃太郎侍って何だよ」
「格好いいだろ」
だからその格好で前に出て告白をしているというのだ。
「だからだけれどな」
「あのな、ちょっと発想変えろ」
「ちょっとでいいからな」
友人達は彼を止める。
「いいか?普通にいってみないか?」
「ちょっとな」
「普通だと告白しても効果がないだろ」
こう考えているのだった、真一郎自身は。
それで友人達の言葉をきょとんとした顔で聞いてこう言うのである。
「そんなな」
「いや、あるからな」
「ちょっとないからな」
「じゃあどうしろっていうんだよ」
「普段着で普通に告白しろ」
「普段の御前でな、そうだな」
彼のその姿を見て言うのだった。
「今の格好でお辞儀をしてから付き合って下さい」
「これだけでいいからな」
「それじゃあ告白しても受け入れてもらえないだろ」
「いいからやってみろ」
「それでいけ、それで」
「大丈夫か?それで」
真一郎は信じられないといった顔だった、彼等のその言葉に。
「いけるのか?」
「ああ、いけるからな」
「普通の格好で普通にお辞儀してな」
「それで付き合って下さい」
「これでいいからな」
友人達は真剣な顔でその具体的な告白の仕方を真一郎に言う。
「だからいいな」
「わかったな」
「ああ、そこまで言うんならな」
真一郎も頷くことにした、そうして。
彼は普段着のまま宏美の前に来た、そしてだった。
深々とお辞儀をしてこう彼女に言った。
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