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ソードアート・オンライン 奇妙な壁戦士の物語
第四話 後・ボス戦攻略
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 青髪の青年の声を合図に、ボス部屋への二枚扉が開かれる。

 同時に、栗色の髪の少年が真っ先に飛び出してボス部屋の中央辺りにたち、彼特有の深い緑色のレイピアを抜く。

 途端、少年の目の前にドシィン! と地響きをさせながらの着地。オオカミを思わせるアギトをいっぱいに開き、そして吼える。

「グルルラアアアアッ!!」

 獣人の王《イルファング・ザ・コボルドロード》。青灰色の毛皮をまとった、二メートルを軽く超える逞しい体躯。血に飢えた赤金色に爛々と輝く隻眼。右手に骨を削って作った斧、左手には皮を張り合わせたバックラーを携え、腰の後ろには差し渡し一メートル半はあろうという剣を差している。

 コボルド王は右手の骨斧を高々と振りかざすと、目の前に居た少年に思いきり叩き付けようと風を切りながら振り下ろした。いつもであればこれを避けるのだが、今回はレイドによるボス攻略だ。出来るだけボスの隙を作って、仲間をサポートしなければならない。

 だからこそ、放った。骨斧を破壊する勢いで、軌跡すら描かない《リニア―》を。

 カキィン! と武器がぶつかり合う音。骨斧と切っ先すら見えないレイピア(手は認識可能)との間で大量の火花が散り、重量では完全に勝っている筈のコボルド王が、それにより攻撃を弾かれ、体制を崩す。

 同時に、モンスターがポップする。見た目はコボルド王と一緒の外見。しかし、その背丈はコボルド王の約3分の1――間違いなく《ザ・ブラッディマーダー・タイラントコボルドJr》だ。

「スイッチ! 後は任せるで!」

 スイッチとは、簡単に言えば攻守切り替えのこと。もう少し詳しく説明するならば、攻撃役を細かく入れ換えることで敵の意識の外から攻撃する機会を増やしたり、回復する間を開ける、というチームならではの戦術である。

 栗色の髪の少年はコボルド王を放って、壁からポップした子ボルド王に向かって走り出し、三体それぞれに一瞬にして《リニア―》を放つ。目視する事が不可能な刺突は的確に喉元に刺さり、三体それぞれのHPゲージの一段目を丸々消失させた。

 しかし、子ボルド王も黙ってはいない。すぐに反撃するように通常の片手剣くらいの大きさの骨斧による唐竹、左右からの横薙ぎが少年に襲う。

 躱すことは――不可能。そう分かった瞬間、少年は確実に子ボルド王を一匹仕留める為に捨て身覚悟で《リニア―》を中央の唐竹で迫る子ボルド王に放つ。

 刹那、攻撃が届いた。それは左右から迫る子ボルド王からのそれでもあり、少年が放った《リニア―》でもある。攻撃したのは子ボルド王が早かったが、攻撃が届いたのは全くの同時。

 更に同時に、少年のレイピアに黒いライトエフェクトが宿る。同時だったからこそ、モンスターから攻撃を受けた時の行動遅延(つまり仰
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