十話
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前で黒鋼錬金鋼は赤く変色していき、臨界点の少し前でレイフォンは待機状態に戻す
見れば周囲の人達、特にこのキャラバンに所属する武芸者は呆気にとられている
「錬金鋼が持たないということがあるんだな………初めて知ったよ」
「ええ。天剣はそんな彼らが使える唯一の錬金鋼です。だからこそ、彼らに求められる最低条件は通常の錬金鋼の許容量を上回る剄を持つこと。そして一人で老生体を撃退するだけの力を持つことです」
「――――ちょっと待ってくれ。………一人で?」
普通幼生体雄性体に関わらず、複数人で組むのが普通であり、今までそれを当然だと思っていたため一人で、それも聞けば老生体という個体相手にというのだからシンラは咄嗟に聞き返してしまう
「ええ、それで十分らしいです。普通の武芸者じゃ剄量的にも技量的にも足手まといだからとか。なんでも、一人で戦場を変えられるだけの力を持たない奴は必要ないって。サヴァリスさん……知り合いの天剣授受者が言うには、楽しみの邪魔だって」
その言葉にシンラ達はもはや呆れの感情しか浮かんでこない
「なるほど、ね。それは確かに、ある意味じゃ世界一安全な都市と言えるだろう」
たとえ年中汚染獣に襲われていようとも、それを屁とも思わない者達が居るのなら心配などない
初めから安全が保障されている。考えようによってはめったに襲われることがない都市よりもずっと安全だと言えるだろう
「グレンダン……強いとは聞いていたが、そこまでだとは思わなかったよ。やはり、未知を知るというのは楽しいものだ」
「……シンラさん達はどうしてシュナイバルに何をしに行くんですか?」
こちらの理由を聞かれたからか、ふと気になりレイフォンは尋ねる
「……正確に言えば、別にシュナイバルでなくとも問題はないんだよ」
「? どういうことですか?」
「僕たちはね、まだ見たことがないものを、ただ知識だけで知っているもの見たいがため。ただそのためだけに都市を周っているんだよ」
どこか楽しそうに、まるで子供が夢を語るような印象を持てる笑顔を浮かべながらシンラは語る
「僕が生まれた都市、蒐識都市シュバルトは様々な情報を分野を問わずに集めていてね。それだけでなく、昔の世界のことだと思われるだろう記述を乗せた本などがある図書館なども数多くあった。僕の父親は研究者でね。僕は小さな頃から本を読み、自分が住む世界のことなどに対する興味が大きくなって、ある日他の都市から訪れた人の話を聞いて都市を出ることを決めたんだ。不安や恐怖よりも、知的好奇心が勝った。それが七年前のこと」
懐かしむ様に、その時のことを思い出すかのようにしながらシンラは続ける
「反対する親をなんとか説得して、資金を集めて、武芸者の友人にも声をかけたりして…
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