暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
番外編
青騎士伝説 前編
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言われているが、自分は単純に眠いのを堪えているだけだ。一時間後に設定した自分にしか聞こえないアラームで起きて、そのときに表示されたパーティー勧誘のうち、もっとも高価なものを受けた。

 そしてその面々を見て、

 「今日の狩りは、五十二層の森林地帯、《メメントの森》よ!」
 「私達のレベルは六十前後だからレベル的には大丈夫なんだけど、ほら、三人とも軽装戦士なんだよねぇ〜。だから安全レベル帯の狩りはどうにも難しいんだけどぉ〜、今回はちょっとメイン狩り場の上昇を考えてねぇ〜」
 「それで、あの、その、」

 その声を聞いて、

 (なんなんスか?)

 やはり困惑した。

 女の子、三人組だ。年は恐らく自分と同じか、やや低めか。このソードアート・オンラインという極端にプレイヤーの男女比の偏った世界では滅多にお目にかかれないだろうし、こんなオレンジのマトのような謎の騎士でなくてもっといい勧誘パーティーがいくらでもあるだろうに。そもそも狩りが覚束ないならそれは安全レベル帯では無いということではないか。

 だが、今は自分は、ファーではない。『青騎士』だ。

 「……」

 沈黙のまま頷く。それが、「青騎士らしい振る舞い」だから。

 その振る舞いに、二人の元気な女の子が黄色い歓声を上げた。一体自分が何をしたというのだ。もう一人の女の子に至っては顔が真っ赤、感情表現がオーバーなSAOとはいえこれは普通の表情というわけではないだろう。

 いや、いいか。
 考えるな。『青騎士』は、そんなことを考える必要は無い。

 「私はハヅキ! よろしく!」
 「ウヅキぃ〜。お願いね〜」
 「あ、あ、わ、私、その、」
 「この娘はナガツキ! と・く・に! よろしく!」

 頷いて、ついていけばいい。
 やれと言われたことを、為せばいいのだ。

 (やることは、変わらないッスから)

 なぜならそれが、『青騎士』なのだから。





 狩りは、いくつものハードな経験をこなしてきたファーには特に難しいものでは無かった。何より彼のレベルはもう七十を軽く超えていたし、その身を包む装備は最前線七十三層にだしても恥ずかしくない程の充実度なのだ。こんな中層フロアのMob相手に苦戦しようはずも無い。

 相対する『メガクラッブ・エイプ』もこの層では高い筋力値を持つ強敵だが、

 「グギャギャっ!」
 「……」

 繰り出される大猿の棍棒をあっさりと左手で受け止められる程度でしかない。そのまま左手で相手の獲物を固定して、右手の長槍でその胸の中央を貫く。発生した赤い光は、ソードスキル、《タンラウンド・クルシファイ》。軽く自分の体重の三倍はあろうという巨体を高々と持ち上げて一回転、そのまま地面へ貼り付け
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