番外編
再びの『合奏』を求めて
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を大袈裟な身振りで言っているウッドロンの言葉を遮る。
「……今日は、なに?」
「レミたんに会いたかったのさあ〜! やっぱり、僕の」
「…なに?」
「ク〜ルだあ〜! でも、そんなレミたんが」
「な・に?」
「……すいません、お土産を、お持ちしました……」
流石に三回繰り返すと馬鹿でも一応は理解するらしく、大人しくトレードウィンドウを出す変態。そこに並んだ文字を見て、ちょっと驚きに目を見張る。依頼していた「例のアレ」に値するブーメランたちが、そこにはきっちりと雁首揃って並んでいたのだ。
少なくとも一週間はかかるだろう大仕事だったはずなのに。
「……これ、って……」
「いや、皆まで言うな! 俺はレミたんにお金を要求したりなんかしないっ!」
当のウッドロンはどこかズレた返事を返しながら、意味も無いポーズを決めて手で私を制する。眉は悩ましげに顰められ、眉間にはもう片方の手が添えられている……が、変態だ。まごうこと無く。ああ、説明しておくとこの段階で既に周囲に観客は居なくなっていた。正直、気楽でいいが。
「で、でも、その代わり、ぐへ、ぐへへへへっ!」
「……な、なに…? きゃーなにをするのー」
相手の演技なのか素なのか正直判断しずらいテンプレ変態発言に、怯えきった仔犬の様な精一杯の演技で応える私。大根役者もいいところの私のそのセリフでも、十分に彼には効果がある。内心は、「ホントにこれでいいのだろうか」だが。
「れ、レミたんに、お願いがあるんだ……聞いてくれるよね……ぐへへ……」
「な、なにをさせるきなのー」
変態丸出しで両手をワキワキさせた後、ストレージからアイテムを取りだす。彼の両手で広げられる服飾アイテムをみて、納得。なんとびっくり、紫色のナイトローブだ。そのデザインには、いっぱしのオタクである私にはしっかりと見覚えがある。
というか、好きなキャラのコスプレ衣装だコレ。
「着てくれるよね! 勿論、帽子も一緒に!」
「きゃー、あーれー」
とりあえず受けとって、装備。なんだこの変態、カメラ小僧の資質もあったのか? そしてローブの着心地のいいこといいこと。もしかしてこれ、ハンドメイドなのだろうか。それはそれで、相当に気持ち悪い。そして自前の薄紫ナイトキャップを被る。これで立派なコスプレイヤーの完成だ。
「うおおおおおおおおおおお!!!」
まあ、服を着るくらいは正直どうでもいい。
コスプレ、嫌いじゃないし。いや、好きだし。
「うおおおおおお!!!」
「……むきゅー」
「ぶほあああああああ!!!」
とりあえずキャラのセリフを言ったら、ウッドロンの悲鳴が一オクターブ上がって悶絶して転がり始めた。現実世界な
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