暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
番外編
再びの『合奏』を求めて
[10/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を大袈裟な身振りで言っているウッドロンの言葉を遮る。

 「……今日は、なに?」
 「レミたんに会いたかったのさあ〜! やっぱり、僕の」
 「…なに?」
 「ク〜ルだあ〜! でも、そんなレミたんが」
 「な・に?」
 「……すいません、お土産を、お持ちしました……」

 流石に三回繰り返すと馬鹿でも一応は理解するらしく、大人しくトレードウィンドウを出す変態。そこに並んだ文字を見て、ちょっと驚きに目を見張る。依頼していた「例のアレ」に値するブーメランたちが、そこにはきっちりと雁首揃って並んでいたのだ。

 少なくとも一週間はかかるだろう大仕事だったはずなのに。

 「……これ、って……」
 「いや、皆まで言うな! 俺はレミたんにお金を要求したりなんかしないっ!」

 当のウッドロンはどこかズレた返事を返しながら、意味も無いポーズを決めて手で私を制する。眉は悩ましげに顰められ、眉間にはもう片方の手が添えられている……が、変態だ。まごうこと無く。ああ、説明しておくとこの段階で既に周囲に観客は居なくなっていた。正直、気楽でいいが。

 「で、でも、その代わり、ぐへ、ぐへへへへっ!」
 「……な、なに…? きゃーなにをするのー」

 相手の演技なのか素なのか正直判断しずらいテンプレ変態発言に、怯えきった仔犬の様な精一杯の演技で応える私。大根役者もいいところの私のそのセリフでも、十分に彼には効果がある。内心は、「ホントにこれでいいのだろうか」だが。

 「れ、レミたんに、お願いがあるんだ……聞いてくれるよね……ぐへへ……」
 「な、なにをさせるきなのー」

 変態丸出しで両手をワキワキさせた後、ストレージからアイテムを取りだす。彼の両手で広げられる服飾アイテムをみて、納得。なんとびっくり、紫色のナイトローブだ。そのデザインには、いっぱしのオタクである私にはしっかりと見覚えがある。

 というか、好きなキャラのコスプレ衣装だコレ。

 「着てくれるよね! 勿論、帽子も一緒に!」
 「きゃー、あーれー」

 とりあえず受けとって、装備。なんだこの変態、カメラ小僧の資質もあったのか? そしてローブの着心地のいいこといいこと。もしかしてこれ、ハンドメイドなのだろうか。それはそれで、相当に気持ち悪い。そして自前の薄紫ナイトキャップを被る。これで立派なコスプレイヤーの完成だ。

 「うおおおおおおおおおおお!!!」

 まあ、服を着るくらいは正直どうでもいい。
 コスプレ、嫌いじゃないし。いや、好きだし。

 「うおおおおおお!!!」
 「……むきゅー」
 「ぶほあああああああ!!!」

 とりあえずキャラのセリフを言ったら、ウッドロンの悲鳴が一オクターブ上がって悶絶して転がり始めた。現実世界な
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ