番外編
再びの『合奏』を求めて
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ーペット》というそのアイテムは、置いた各種アイテムの耐久値減少や盗難を予防できるという効果がある優れモノだ。ぽつぽつと並べるのは、自作の《裁縫》、《細工師》の作品の数々。そして中央に、自作の自分用クッションを敷いて、完成。
味も素っ気もないが、これが自分の『店』だった。
「……こっちも、おけー。作業、開始」
ペタリとクッションに腰かけて、作業開始。今日はまずは、依頼の《細工師》の品から仕上げてしまおう、と一人で計画を立てて、ストレージ内の鉱石から色、性能の合うものを選択していく。最初は、敏捷値上昇効果の指輪、とすると選ぶのはこれか。いや、こっちがいいか。
周囲に、人影は見えない。当然だ、こんな然程いいものも無いフロアなぞ訪れる人はそうそういないし、そんなところにある出店なんぞに用がある人間など更に少ないだろう。だが、それならそれでいいのだ。あまり大勢の相手をするのは、正直疲れる。誰にも言ったことは無いが、マスコット扱いも度が過ぎれば大変なのだ。
黙々と作業をこなすこと、どのくらいか。
しばらくして、
「おや、珍しい。こんなところで出店かい?」
「……」
「見ていってもいいかな?」
偶然通りかかったソロのプレイヤーの言葉に、コクリ、コクリと頷く。相手もそれで納得したのか、並んでいるアクセサリーを手にとってクリック……して、その名称と効果を見て驚きの声を上げた。デザイン重視の製作アイテムにしては、ステータス上昇効果の高さは珍しいのだろう。こうして一人が立ち止まると、後は通るプレイヤーは皆少しは興味を示していく。
こうなれば、あとは人混みが出来るのは時間の問題だ。
そして、そうやって少し騒ぎが広がれば。
(その内、あいつも、来る……)
その、自惚れとも言える、予想。
結論から言えば、その予想は、間違っていなかった。
◆
私は、それなりにモテる。
こう言うと凄まじく感じが悪いことは分かっているが、事実そうなのだから仕方ない。というか、私に言わせればその自覚のない人間の方がよっぽど危険だと思う。アスナは自分がもっと絶世の美女だと理解するべきだし、ソラは笑顔を安売りし過ぎだ。
最初の頃は私も、流石にこの世界ではそんなことないかな? と思ったのだが、露天商をやっていた頃には買うつもりも無い人……私を見に来た人達で人垣ができるようになるのにそう時間はかからず、最終的にはその中の数人が口論、デュエルにまで発展してしまったのだ。
……まあ、あのときは私の格好にも問題はあったかもだが。
とにかく、それ以来私は決まった場所で店を開くことを辞めて、こうして週に一、二回適当な層で店をやっている。それでもやはり午後いっぱいや
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