番外編
再びの『合奏』を求めて
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ミたんが俺に惚れるまで、俺は絶対にあきらめないっ!」だって。まさか軽くからかっただけであそこまで本気にするとはねー。宝石類は普通のドロップとしても、椅子とか机とか作る手間が馬鹿にならないはずなんだけど、例のアレだって、レミの頼んだ翌日には絶対にここに持ってきているし。本人、「レミちゃんの頼みに遅れるなんてありえない!」ってノリノリだからいいんだけど、さ」
「……凄い馬鹿」
「……だよねー……」
二人で笑いあう。そう、自分がこうして、普通は無理な勢いで生産職に打ち込んでレベル上げ、荒稼ぎに邁進できるのには、ちょっとした支え……というか、馬鹿の助けがあるのだ。あるのだ……が、それはまあ後でまた語れるだろう。
幸い今日は、出店をやる日。いつも通りなら、彼はきっと……いや、間違いなく現れるだろうし。
◆
私には、ファーとシドを引き止める機会は無かった。
勿論二人とも、私に断ってこのギルドホームを去ってはいない。朝起きたら、突然いなかった。シドの方はなんの置手紙も無く、フレンドリストからもその名簿を消して。ファーは一言、「ごめんッス」とだけのメッセージを残して。
でも私は、面と向かって別れを言われたとしても、引きとめはしなかったろう。
二人は、分かっていたはずだから。
「自分たちはこのままじゃ、このギルドには居られない」、ということを。
その裏の真意…「このギルドに居たいなら、変わらなければ」、ということを。
だから私は、彼らを待つ。彼らが自信を持って、帰ってこれるようになるまで。
ソラに胸張って顔向けできるようになって、このギルドが再結成されるその日まで。
そのためにこの場所を守り続けるのは、私の役目だ。
彼らが変わるために力や金が必要なら、それを用意するのも私の役目だと思う。
なぜなら私はもう先に、許してもらったから。ソラから直接、「レミは変わらないでいて」、と言われていたから。だから私には、ソラに認めて貰おうと変わるための努力は必要ない。ならばその分、他の二人の為の努力をするのは当然だ。ギルドメンバーとして、当然のことなのだ。なぜなら二人の苦しみはきっと、自分の比ではないだろうから。
自分自身で、自分を許せるようになる。
それはとても、とても難しい。
人によっては、一生出来ないかもしれないほどに。
だけど、それでも、私は信じていた。
ソラへの想いが、二人の意志が、それをきっと可能にすると。
だから私は、ぶれない。
ただ、穏やかな日々で、己の力を磨き続ける。
また再び三人…いや、四人が一つになれる、その日まで。
◆
「おっ、レミちゃんきたよーっ!」「や
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