番外編
再びの『合奏』を求めて
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び口を開く。その目で、ゆっくりと遠くを見つめて。
「アタシだって、気持ちは分からなくはないけどね」
「……まあ、それは、置いておいて」
「……レミは、変わらないわね。……そーいうトコそんけーするわホントに」
「変わらない、って。約束、したから」
無表情にバッサリと斬り捨てた言葉に、リズがジト眼でこちらを見つめる。冷たい女だ、と思われたかもしれないが、それは仕方ない。もともと自分は感情が表に出ないタチだったし、たとえそうだったとしてもソラとの約束、絶対に守って見せる。
そんな自分を見て、納得したのか呆れたのか、リズが困ったように眉をハの字にする。
「ま、それならそれでいいんだけど、さ。で、今日はどうする?」
「……リズ…今日は、一緒にいたいの……」
「はいはい。んじゃ、いつも通りに店の方でやっててね。今日はアタシも忙しいから、さ」
「……愛してるー」
「はーいはい、アタシもよ」
精一杯色っぽく言ってみたつもりだが、やはり喉から出たのはいつもの無表情声だった。以前はリズもそれでもそこそこに動揺してくれたのだが、流石にもう長い付き合いだ、いい加減に慣れてきたらしくあっさりとスルーされてしまった。あの頃の貴方には戻れないのね……と続けたかったがあんまりおもしろくなさそうなのでやっぱりやめて、大人しく席を立つ。向かう先は、店内だ。
「おはようございます」
「……おっはー」
挨拶してくれたNPC店員に無表情に挨拶を返す。それでも嫌な顔一つしないでくれるのは、無表情で無愛想な自分には、アインクラッドで良かったことベスト十には入る気がする。そんな事を思いながらそのまま広い……センスのいい、それでいて性能もなかなかの剣や槍が所狭しと並べられた店内を見回して、その一角へと目を移した。
そこにあるのは、椅子と丸テーブル。自分が朝方、納品のついでにここでとある作業をするようになってから、設えられた専用ブースだ。自分が黙々と作業をするのは割と宣伝効果にもなるらしく、リズもしぶしぶ認めている。ちなみに訪ねてくる一見さんの中には自分がNPCだとホントに信じている奴までいるらしいが。
今日もさっそく作業に入ろうと、椅子にストンと腰をおろして、
「……ん? ……椅子、替わった?」
その感触に首を傾げた。馴染んだそれより、座り心地がいい。
そんな自分の声に、リズが工房から顔だけ出して、
「あー、言ってなかったわね。一昨日また来たのよ、あの馬鹿。椅子もタダで置いてって、おまけにまた宝石系統ちょっと置いて言ってたわよ。スゴイわね、ホント」
「……んー、凄いけど、馬鹿」
「ホントにねー。「レ
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