番外編
再びの『合奏』を求めて
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笑おうとしている。
(……へんな、顔……)
自分ではどうしてもそう思ってしまう、ぎこちない笑顔だった。
(ん……)
視線を逸らすと、その脇に並ぶのは、四体の人形。可愛らしいストラップ付きの手作りのそれらは、実は結構な自信作だった。皆はハズカシイだオタクだディフォルメだと好き勝手言っていたが、誰が処分するでもなく結局このまま置きっぱなしになっていた。
(いつか、戻れるかな……)
変わってしまったものを、元通りに。完全では無くても、ある程度は。
具体的には、ソラが笑って満足してくれるくらいに。
立ち上がる。
その為に頑張ることは、山ほどある。
有難いことに自分は、山ほど頑張れることを知っていた。
「……よし……ふぁいとー。おー」
一人で気合いを入れて、だんだんと明るくなり始める外へと歩き出した。
◆
あの夏の日、私は迷わず逃げた。その判断に後悔は無い。あの近距離戦、遠距離攻撃専門のブーメラン使いが残っても出来ることなど何も無い。正真正銘足手まといだ。素早く判断していつでも使えるように転移結晶を取り出し、隙を見てすぐに転移脱出した。
脱出の瞬間、最後に見たソラは、笑っていた。
殺人者を相手に、怖くないはずはないのに。
元の世界の病気で、体を動かすのさえ辛いはずなのに。
私にだけ見せてくれた涙は、泣き顔は、弱さは、そこには無かった。
いつもの能天気な、それでいて何もかもを包み込むような笑顔。
『攻略組』を励まし、私達を支え続けた、女神の様な微笑で、私を見送った。
女神。
思えば彼女は、よくそんな風に言われていた。
でも、私は知っている。
ソラはそんな、女神様なんかじゃないことを。
いつも恋したり、悩んだり、時には泣いたりする、ただの一人の女の子だったことを。
だから私はその、女神と称された笑顔は、あまり思い出さない。
私は、私だけが知るソラを想う。
それが、私の役目だと思うから。
ああ、そうだ。私だけ、じゃないかもしれない。
今から会う彼女も、もしかしたらソラのそんな姿を良く知っているだろうな。
◆
「……やっほー」
「いらっしゃい、レミ。今日は随分早いわね?」
無愛想な挨拶に満面の笑みで応えてくれたのは、行きつけの……というか、自分の作った革製の鞘の卸し先である店の店主だ。ピンク色のショートの髪に、ダークブルーの円らな瞳。纏うウエイトレスかメイドの様な服装は、その道に詳しい自分から見てもなかなかにセンスが良い。店の奥の私室でテーブルに座って、手にはいつもの工房用ハンマーでは無くコーヒーカップが握られていた。まだ朝
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