暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
番外編
再びの『合奏』を求めて
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ら鼻血でも噴き上げないかねない興奮っぷりだ。普段ちゃんと日常生活送れているのか心配になるレベルだが、まあいつもと言えばいつもの光景だし大丈夫だろう。そのまま地べたに転がる変態を汚いものを見る様な(いや事実汚れたものを見ているのだが)目で見下ろして、

 「……っ!? ……ちょっと、」
 「だ、ダメだっ、これは破壊力が高過ぎる!これ異常は俺の精神力が持たないっ!」
 「じゃなくて、」
 「俺はもう満足だあああ! これで三日はオカズはいらねえええ!」
 「……おーい、キモいぞー」

 驚きに声を上げてしまった。

 ウッドロンが、転げまわりながらそのまま交換用のストレージ画面……私の側にはまだ何も、お金すらも入っていなかったそれをOKしてしまったのだ。たしかにいつもからかいまくってはいるが、それでも流石にこれはマズいだろうと思って駆け寄る。しかし、ウッドロンは誤魔化すばかりで代金を受け取ろうとはしなかった。

 「俺は、俺は生きてて良かったあああ!!!」

 おちゃらけて叫ぶウッドロン。その頬には、気持ち悪いことに涙さえ見える。うん、変態。周りにはいなくなっていたはずの人だかりが、変態を見るために再び構成されつつあった。さすがにこれは恥ずかしいかもしれない。当人は幸せそうだが。

 (……また、だな……)

 でも、私は知っている。
 彼が、わたしをさりげなく気遣ってくれていることを。

 そういえば出会って直の頃からも変態っぷりとオーバーリアクションは健在だったが、それでも守るべき一線は守っていた。具体的には、物を貰うときにはきちんとお金を払っていたし、私も命を危険に晒すような依頼はしていなかった。

 それに変化があったのは、……ソラがいなくなってからだ。もともとは受け取っていた代金を受け取ろうとせず、譲ってくるアイテム類も格段にレア度が高まっている。彼の正確なレベルは聞いたことが無いが、それでもこれだけのアイテム、ソロではかなり危険に違いないのに。

 どこか目線に出ていたのか、ウッドロンがこちらをちらりと見る。
 と同時に、再び表示される、交換ウィンドウ。表示される各種アイテム。

 再度のそれを訝しみながら眺めると、それがポーションやクリスタルなど、戦闘で用いるアイテムたちであることが分かった。この男は、これだけバカと無茶とをしながらも、自分が危険なことをしないように、その時に少しでも準備ができているように気を配っているのだ。

 だが。 

 「……いらない。それは、今はまだ」
 「およ、そう? ま、いるようになったら言ってよ。いつでもどこでも五秒で届けるぜ!」

 今はまだ、いらないのだ。
 ウッドロンも、笑顔で親指を立て、それ以上は無理強いしない。

 まったく、凄い奴だ
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