第四話「代表 ~calculation~」
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「ヴ、ゲホッゲホッ!!あー、死ぬかと思った」
「死ぬかと思った、じゃないわよ!!人間のクセに、なんて無茶をするのよ!」
「同意。先程の行為は褒められたものではありません」
宵闇の帷に覆われた人気の無い砂浜に、一人の男と双子らしき二人の女が海の中から揚がってきた。
「だから言ったろ。お前らを救うって」
「だからって、命張るまでもないじゃない」
「不可解。他人のためになど、理解できません」
立っていることもままならない様子で、三人とも砂浜に転がる。
「人間ってのは、時には論理を越えた行動をするもんなんだよ。それと、口調が戻ってるぞ。って、ひゃめんひゃ」
「う、うっさいわよ!ひゃにするのひょ」
「む。耶倶矢だけずるいです」
一夏と耶倶矢がお互いに頬を引っ張りあっていると、夕弦が拗ねて頬を膨らませる。
「で、どうだ?俺は信じるに足る人間だったか?」
一夏の言葉を聞いた途端、夕弦と耶倶矢は真剣な表情になる。
「ねえ、夕弦」
「応答。どうしました、耶倶矢?」
「私さ、あんたのこと、嫌いじゃないわね」
「同意。私も嫌いではありません」
「だからさ。消えたら」
「消えたら、目覚めが」
「「悪くなる」」
一夏は何も話さず、ただ静かに二人を見守る。
「なあんだ。結局、私達って同じだったじゃない」
「否定。私の方が一夏のことを把握してます」
「それなら私の方が悩殺ぼでぃで、メロメロにできるんだから!」
「フッ。愚かです」
「なにをー」
口論が始まるが、しばらくすると二人の間で無言が続く。
「私さ、消えたくない理由ができちゃったよ」
「同意。私もです。ですから提案。この勝負、長期戦を希望します」
「そうね。決着が着くまで続行だね」
二人はクスクスと笑う。
「「というわけで、一夏!!」」
「お、おう」
突然話を振られ、若干驚きながら答える。
「ククク。喜ぶがいい。貴様の提案を、本来なら歯牙にもかけぬが、今回だけ特別に受けてやろう」
「信用。貴方に我ら八舞、〈テンペスト〉の運命を賭けます」
「サンキューな、二人共」
一夏は緊張から解放された、ホッとしたような表情になる。
「で、如何にして我らを救うのだ?」
「催促。なるべく早くやった方がいいかと」
「そ、それはだな……」
一夏は、二人を救う方法が自分とキスすることであることを言い出せず、アタフタする。
二人から懐疑の視線が強まり、今までの努力が水の泡になってしまう、と焦る。
「えっと、少し準備が必要なんだ。だから、一旦狂三達がいるホテルに戻ろう」
考えに考え抜いた末に導き出した行動は、戦略的撤退であった。
人はそれを、問題の先伸ばし、あるい
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