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怨時空
第三章 暗い過去
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は血だらけの少女の顎を掴みこう言い放った。
「おとなしくしろ、いいか、おとなしくするんだ。すぐに済む、ちょっとの我慢だ」
少女は体をだらりとさせ抵抗する気力を失っている。少女の頬に一滴涙が零れた。

 少女は泣き続けた。ベッドには少女の処女の痕跡が残されている。二人はさっさと用
をすませると、ここをどう切り抜けるかを思いあぐねていた。途中で合意をとりつけよう
と必死になったが、すべて徒労にに終わった。重く暗い現実がそこにあった。
 先ほどからため息を繰り返していた中条がおずおずと口を開いた。
「まさか、中学1年生だなんて思わなかった。君だって言ったじゃないか、高校生だって。
それに部屋で寝ていたってことは、誘いに乗ったってことだろう。大人の世界ではそれが
常識だ。いきなり暴れるからこっちも驚いちゃって……つい……」
桜庭がベッドから立ちあがりながら口添えした。
「そうだよ、男二人の部屋でパンツ丸出して寝ているんだもの、誘っているとしか思えな
かった。だから、最初に微笑みかけただろう。あれは、許してくれるんだね、仲良くしよ
うねっていう意味だったんだ。まさか暴れるなんて思わなかったんだ」
桜庭の言葉は少女の軽率さを非難するような響きがある。これを聞いて少女が泣きながら
抗議した。
「そんな言い訳、通りわけないじゃない。最初から二人して押さえつけていたじゃない。
それって、強姦でしょ。犯罪ってことよ」
二人は押し黙った。何をどう言い繕うと強姦に違いないのだ。この場を何事もなく収める
など神様でもできやしない。ではどうする。二人は口をつぐむしかなかった。頭を垂れ、
反省した振りをして謝るしかないのか。少女の涙声が二人を襲う。
「いい人だと思った。いい人にめぐり合ったと思った。お母さんに電話するって言ってく
れた。だから私は安心して寝ていたのに。それをいきなり襲うなんて最低よ。絶対に訴え
てやる。警察に訴えてやる」
中条の肩がぴくりと動いたかとおもうと、突然はいつくばり、土下座した。そして声を張
り上げた。
「申し訳ない。本当に申し訳なかった。この通り謝る。だから、警察沙汰だけは勘弁して
くれ。お願いだ。この通り謝る」
その変わり身の早さに、桜庭は唖然としたのだが、しかたなく桜庭もその横に並んで、頭
を床に着けた。突然、少女がドアに向かって走った。中条は、すぐさま立ちあがると後を
追って、少女の髪を掴み引き倒した。少女は仰け反って倒れた。
 中条が仰向けになった少女に馬乗りになる。両手で首を押さえ込み搾り出すような声
を発した。
「殺されたいのか。強情を張ると殺すぞ。本当に殺すぞ」
桜庭には、それが街で喧嘩になると、中条がしょっちゅう言葉にだすこけ脅しだと分かっ
た。しかし、二人にとって不幸だっ
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