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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第二十八話
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いていたらハミルトンが発狂しそうだからである。

「……ハミルトン、暫く此処で休め」

「……はい」

 ピニャはハミルトンをソッとしておくべきと思い、近衛兵と共に外に出た。

 そしてピニャ達が部屋の外に出るとハミルトンは再び泣き出したのであった。




 その頃、伊丹達の第三偵察隊はアルヌスの基地に帰還していた。

 拉致されていた三人の女性を建設されたばかりの病院に入院された。健康状態なども調べられるが、問題は三人のうち二人が外国人である事だろう。

 この対処のため、政府はかなりの苦労をするのであった。

 そして伊丹自身は一通りの事を済ませると仮設住宅の方へ向かっていた。

「金髪エルフのところへ行ってみな」

 柳田にそう言われたのだ。その言葉に伊丹は何か嫌な予感を覚えつつ金髪エルフこと、テュカの部屋をノックした。

 そして出迎えたのはレレイであった。室内に入ると何故かロゥリィの姿もあった。

 そして伊丹はテュカの姿を見て、嫌な予感が的中したと思いながら外に出て吐きロゥリィに気絶させられるのであった。

「……で、これは一体どういう事だ?」

 アルヌス飛行場で新型機を見に来ていた樹をロゥリィが無理矢理連れて来た。

 伊丹も水を飲んで漸く落ち着いてきた。

「それは此の身が話そう」

 そこへダークエルフが話しかけてきた。

「貴女は……」

「挨拶が遅れた茶や草の人よ。此の身はヤオ。ダークエルフ、シュワルツの森部族デュッシ氏族。デハンの娘ヤオ・ハー・デュッシ」

 ヤオは伊丹と樹に深々と頭を下げた。

「確かシュワルツの森は炎龍に……」

「如何にも。此の身は茶や草の人に我が同胞を救ってもらうために来た」

「それが何故このような事をした? 何でテュカに余計な事した?」

「余計とは心外。事実を伝えたまでに過ぎない」

「問い直す。何故事実を伝えた?」

「決まっている。それがその娘のためだ」

 ヤオはキッパリとそう言った。

「テュカはオヤジを亡くしているのだぞ?」

「御身を父親と認識しているのを見逃すのか?」

「………」

 ヤオの言葉に伊丹は拳を握り締める。伊丹の睨みにヤオは臆しなかった。

「……ヤオさん、貴女は炎龍を退治してほしいと我々に求めたはずです。それなのにテュカさんを壊すとなれば退治自体の話は無くなりますよ」

 樹はヤオにそう警告した。勿論、樹がそう言っても炎龍退治に変わりはない。

 しかし、顔見知りであるテュカの心を壊すなど樹には許されない事であった。

「貴方方も炎龍には手を焼いているはず。そう断れはしない。それに炎龍と直接戦った貴方達に是非来てもらいたいのだ」
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