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リリカルなのは 3人の想い
7話 一条 京介side
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れ以外ほぼ全部男が着るようなもんじゃなかっただろうが」

 今の俺の服装はショートパンツに飾りっけのないTシャツ、顔を隠せるように目元まである黒く大きいニット帽で玄関にてスニーカーの靴紐を結んでいる。
え? さほど男らしくないって? はっきり言おうお前等は甘いと。
だってさあ、八神が最初に出してきた服って何だったと思うよ? ONE PIE――もとい白いワンピースだったしさあ、+麦わら帽子。今思えばあれは狙っていたんだろうか。
思わず「男らしさが欠片もねえぇぇえ!!」と叫んだ俺は悪くないと思う。
 まあ、そんなこんなで俺を着せ替え人形にされそうになったが、必死の攻防の末、何とか今の服装に落ち着いた訳だ。
 つか、下がスカートじゃないだけましだが太股の半分までしか丈がないとかないわ。
男のすね毛の生えた生足なんて見ても誰も得しねえよ、だがら前世でも基本長ズボンしか履かなかったしな。

「ほんまに行ってしまうん?」

八神の声には先ほどまでの元気はなく、寂しげな色がありありと伺える。

「俺が居たら八神の負担が増えて大変でしょうよ」

 人が一人増えるというのは金銭面でもそうだが、炊事洗濯は手分けしてやっても一人と複数人ではかなりかってが違ってくる。
それにそれは精神面的にも言えることで…………やめよう、どっちにしろ八神の家にやっかいになるわけにはいかない。

「一人ぐらい増えたって大して変わらへんよ」

「そうは言うけどねい……」

言うは易し行うは難し、初めはそう思っていてもいつかは辛く思うときが来るだろう。
初心を忘れない者など居はしないのだろうから。

「それにお手伝いさんが増えるんは私としてはありがたいことなんやよ」

八神の言っていることは正しく、俺には正当性などなく、端から見れば何故そんなに頑なに拒むのか理解できないだろう。
 俺としても理由を聞かれれば返答に困るに違いない、それでも納得できない辺り、首を縦に振れない辺り何らかの思いがあるのは確かなのだろう。
 結局その思いをうまく言い表せる言葉がわからず、そんなもどかしい感覚を振り切るようにして立ち上がる。
 その瞬間にわずかに後ろに抵抗。
 首だけを動かして見てみると、それは八神がTシャツを摘んでいるせいだった。

「あっ……、えっとごめん……」

 謝ってこそいるが八神はその手を離そうとはしない。
それは抵抗と言うにも微かすぎて、振り払うまでもなく一歩前へと足を進めれば、簡単に外れてしまうだろう。
だというのに、俺は何故かその一歩が一向に踏み出せなかった。

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