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剣の丘に花は咲く 
第八章 望郷の小夜曲
第四話 ハーフエルフの少女
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、これからよろしく頼むな」
「は、はい……よろしくお願……エミヤさん?」

 士郎の言葉に、ティファニアが頭を下げて答えようとしたが、それは中途半端な姿で固まってしまう。その原因は上目遣いに見上げる視線の先。

「ん? なんだ?」

 困ったようなティファニアの視線に気付いた士郎が、ティファニアの視線の先に目をやると、そこには、未だティファニアの頭をナデナデと撫でる士郎の手が。

「っ! す、すまんっ!?」

 慌てて背後に飛び退った士郎が、ティファニアに向かって何度も頭を下げると、ちょっと困ったような笑顔を浮かべたティファニアが小さく首を振る。

「い、いえ。その、ちょっとビックリしただけで……嫌ではありませんでしたから」
「そ……そうか」

 浅黒い頬に微かに差した朱を隠すように、士郎は頬をかきながら顔を背ける。
 照れた男の子がそうするような士郎の行動に、ティファニアの顔に柔らかな笑みが浮かぶ。

「ふふふ……いいえ本当に嫌ではありませんでした。今までわたしはどちらかというと頭を撫でる方でしたから、だからその、驚いてしまって」
「そ、そうか」
「だ、だからその、本当に嫌じゃなかったから」

 両手を合わせ、もじもじと身体を揺すりながら照れるティファニアが、上目遣いに士郎を見上げる。士郎はそのティファニアの上目遣いにドギマギとしながらも頷いて見せる。

「そ、そうか、いや、嫌がってはないんならよかった」
「は、はい、で、でもその……撫でられると何だか嬉しくなりますね。何だか思い出します……父に頭を撫でられた時のことを」
「っは!? ち、父?」
「え? あっ! ……そ、その、し、失礼ですよね、すみません」

 士郎が自分を指差しながら呆然と呟くと、自分が口にしたことを思い出したティファニアが両手で赤くなった顔を隠して頭を下げる。士郎はぺこぺこと頭を下げるティファニアを見下ろしながら苦笑を浮かべる。

「あ〜……まあ、いいぞ別に。感じ方は人それぞれだからな。……しかし、父親か……まぁ、子供がいてもおかしくない歳ではあるんだが」
「え? い、いいんですか?」

 士郎の最後の呟きは聞こえなかったのか、ティファニアが何か期待が混じった目を向けてくる。

「ああ。ん? そういえば俺と君は互いに名前を知ってはいるが、正式な自己紹介はまだだったな」
「あっ、そう言えばそうでしたね」

 今までの会話で相手の名前を自然に交わしていたので気付かなかったが、士郎とティファニアがまともに会話をしたのは今が初めてであり、互いの名前は共通の知り合いであるセイバーから聞いただけであった。そのことに気付いた士郎が、苦笑を浮かべながらティファニアに頭を少し下げて見せる。

「それでは改めて自己紹介でもし
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