第八章 望郷の小夜曲
第四話 ハーフエルフの少女
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、物語とは違い、ルイズは未だアヒルの下にいる。
たった一人のまま。
魔法が使えるようになり、周りからの蔑みや侮蔑はなくなったが、代わりにルイズの中には孤独が生まれた。
『虚無』他の系統とは一線を違う魔法。
白鳥だと気付いたものが、アヒルだと偽りアヒルの中にいるようなものだ。
真実を知るアヒルたちは、その白鳥の美しさを利用することだけしか考えていない。
だから白鳥は、その寂しさを癒すために自らの羽で作った人形に依存してしまった。
羽が無くなれば、落ちてしまう。
「あいつには……ルイズには……まだ俺が必要だ……」
―――だが。
「シロウさん?」
だがな……ルイズ。
もうそろそろ、それも終わらせないといけない。
もっと周りを見てみろ。
お前を見る者の全てが、お前を蔑みの目で見ているか?
お前を見る者の全てが、お前の力だけを見ているか?
違うだろ。
お前を、ゼロのルイズとして見るのではなく、虚無の使い手として見るのではなく。
ただ一人のルイズとして見る者たちがいるだろ。
それに気付けば、きっとお前は一人で飛べるようになれる。
だから――まあ……それまでは、な。
「まあ、もうそろそろ大丈夫だとは思うが」
「シロウさん?」
「ん? ああ、すまないな。……まあ、そういうことだ。使い魔契約が切れたからといって、はいさようならと言うのもなんだしな。この間行商に来た商人も、戦争が終わったと言っていたからな。下に降りるための船もいくつか出始める頃だろう」
セイバーの食事については半分は冗談であり、実際は空を飛ぶこの浮遊大陸アルビオンから下に降りるための足がないため立ち往生していたのがここに留まっていた理由であった。だがそれも、この間来た商人から話を聞いた限り、そろそろ下に降りるための船が出始める頃のようだ。なら、もうそろそろここを出るかと士郎は考えていた。
「で、でもアルトは」
未だ納得がいかないと言うように、少し膨れた顔で士郎を見るティファニア。
「別に死に分かれる訳じゃなし。会おうと思えば会えるからな」
「そうです……か」
「そう寂しそうな顔をするな。また会いに来ると言っているだろ」
落ち込んだように顔を俯かせるティファニアの頭に手を乗せると、士郎は優しく撫ではじめる。
「っあ……はい」
「さて、皿洗いも済んだし戻るか」
「はい」
撫でられる感触に目を細めたティファニアは、士郎の言葉に素直に頷き、足元に置いた
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