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シンクロニシティ10
第二十章
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イラになる運命を石田に漏らしたとは思っていない。つまりこのことが、敵の完璧な情報網と組織に楔を打ち込める有効な手段なるのだ。
 つまり石田達も警察の情報網と組織を動員して敵に立ち向かうことが出来る。勿論、コンタクトする人間は、信用のおける人間に限るのだが、今は運を天に任せるしかない。15分後、石田が携帯を取り上げ、番号を押した。電話の相手はすぐに出た。
「はい、捜査1課、榎本です。確認がとれました。確かに二人には失踪届が出されております。」
「その前に、聞いておきたいことがある、榎本さんの班の係長は何と言う人です。」
「磯田警部です。」
磯田警部は榊原のメモによるとまあまあと書いてある。何人も名前をあげてメモを書いていたが、榊原が誉めた人物など一人もいない。榊原の暗い人間関係を思い知らされた。
「それから、この件はしばらくの間、榎本さんの班と捜査一課長止りにしてもらえませんか。それと、石川警部には情報を流さないで下さい。了解してもらえますか。」
しばらく、間があいた。恐らく石田の電話に耳を傾ける捜査一課長に目線で了解を得ているのだ。
「了解しました。石川警部と言うのは本庁捜査一課三係の石川のことですね。」
「ええ、その通りです。では、昨晩の事件の概要をお話しします。まず、あのビルには地下室があり、そこに失踪していた小野寺晴美が軟禁されていました。その小野寺晴美を榊原と私で昨夜救出したのです。牛田洋介君は残念ながら、既に死んでいました。死体はコンクリート詰にされて地下に放置されています。」
「ほ、ほ、本当ですか。」
「ええ、本当です。小野寺晴美は今安全な場所に保護しています。今話したことは、彼女が証言するはずです。そして、臼田巡査達もその地下室に閉じ込められています。そうそう忘れてましたが、敵が一人牢屋にいます。脚のアキレス筋を切られた状態ですが、命に別状はないでしょう。」
「その敵は誰にアキレス筋を切られたのです。」
「私が切りました。晴美を救出するためにしかたなく。」
別の声が響いた。
「石田さん、捜査一課長の韮沢です。今、晴美と呼び捨てになさった。貴方は晴美さんのご親族なんではありませんか。」
「これは韮沢さん。榊原に言わせれば叩き上げの信頼出来る人物だとか。」
韮沢が笑った。実を言えば叩き上げだが、優柔不断だと評していたのだが、榊原の今後のことを考えておべっかを言ったまでだ。
「それはそれは有難うございます。それはそうと、どうなんです。」
「榊原が評した通り鋭い。おっしゃる通り父親です。ですが、今は離婚していますので戸籍上は関係ありません。」
「石田さん、どうも分かりません、どうして警察の力をかりずに、独力で危ない真似をするんです。二人の偽警官の銃が消えています。石田さんが
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