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シンクロニシティ10
第七章
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。どこに送ればよろしいのでしょう?」
いつのまにか丁寧語になっている。
「中央郵便局、私書箱125だ。」
「ええ、分かりました。もう、こんなこと、こりごりです。」
「それが分かればいい、ところで、誰かにMDを見せたり、メールしたりしていないか。」
「いいや、誰にも見せてないし、メールもしていません。」
沈黙が二人を包んだ。洋介は晴美と石田の二人に迷惑をかけたくなかったのだ。男は笑いながら皮肉っぽい声で言った。
「それならいい。兎に角、暫く姿を隠すことだ。この電話を切ってから、非通知設定を切り替えて、君の携帯に電話を入れる。それを登録しろ。相談に乗るよ。俺の名前は、そうだな、えーと、モンスターってことにしよう。」
「分かりましたよ、モンスターさん。あんたに頼らざるを得ない。兎に角、僕を助けて下さい。相談に乗って下さい。」
「ああ、分かった。それよりMDを大至急送ってくれ、もしそれが我クライアントに関するものなら、流失経路を探り出さなければならない。」
電話が切られて暫く放心状態が続いた。タクシーの運転手が話しかけてきた。
「何か物騒な話をしてましたね。」
洋介は「はあ」と声をだしたものの、曖昧な笑いで誤魔化した。脱力感が体を支配し、腹に力が入らず話す気にもならなかったのだ。
 
 石田に電話を掛けたのは、下谷のマンションに着いてからだ。携帯は使いたくなかった。石田は直ぐに出た。
「やあ、洋介君か。例の件だけど、さっぱり駄目だ。僕の手には負えない。だから大学の後輩に任せてある。そいつは専門家だから何とかなるかもしれない。」
洋介はそんなことはどうでもよかった。
「石田さん、その、晴美からMDをどうやって入手したか何か聞いてますか?」
「晴海は洋介君が拾った鞄の中に入っていたって言っていたけど。」
「実は違うんです。ちょっと言いづらいことなんですけど、…」
 
 洋介は本当のことをしゃべった。もはや隠し立てしている余裕はない。晴海の父親に対する疑念もあっさりとしゃべった。そして、一週間前やくざの追跡をかわしたこと、今日モンスターから聞いたことも全て話した。
 聞き終えると、石田が溜息混じりに口を開いた。
「しかし、君も思い切ったことをしたね。これからどうする、身を隠すのか?」
「ええ、そのつもりです。とにかくヤクザ絡みですし、身を隠せとモンスターが言ってましたから。」
「私の友人に警視庁の刑事がいる。そいつはマル防ではないけど力になってくれるかもしれない。」
「実は、そのことがあったので電話したんです。晴海から、いえ、あの、晴美さんから聞いていましたから。榊原さんでしょう。何とか話をつないでもらえませんか。僕も何年も姿を隠すなんて無理ですから。」
「ああ分か
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