暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第15話 銀髪の彼の素顔
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の下着二枚が僅かに残存する。

「ふう……。まあ……大丈夫だとは思うんだけど……」

 レイナは、一瞬だけ扉の方を見た。
 鍵をかける様な事は出来そうに無い……けど どうやら覗かれているような気配はない。

 索敵のスキルも少しは上げているから、もしも覗いているのなら感じ取る事が出来る、と思う。
 だから、問題ないと思っていた。

「そう……だよね。あんな可愛い子が……ううんっ!」

 レイナは首を振った。リュウキの事を信じている、と言うよりは、早く心ゆくまで堪能したいと言う欲求が優っていた様だ。

 そして、更に変化した≪下着全解除≫ボタンを押す。

 それらの操作でアバターである自身の体は完全な無装備状態になり、仮想の冷感が肌を冷やりと撫でていた。そして、直ぐに風呂の方へと入っていく。
 湯舟に、まずは左足から付ける。ゆっくり、ゆっくりと……。

「ッ……ああ……、ああっ………!」

 足の指先をつけたところから、感覚信号が頭へ脳内へと直撃したような気がした。

 そして、上から絶え間なく落ちてくる滝の湯に頭をあてる。全身満遍なく温まったところで。
 “どばしゃーーーん!”と水音を立てながら湯の中へと一気に全身を浸からせた。

「う、あぁぁ………」

 レイナは、自分の声とは思えない。まるで、悶えているような声を思わず出してしまっていた。
 
 こんなの、声を堪えることなんて、絶対に出来ないと心底感じた。

 確かに、ナーヴギアと水分の相性もあるのだろうか。現実と違ってお風呂そのものを再現なんて出来ているわけじゃない。だけど、所謂『入浴している感覚』が脳へと送り込まれているのだろう。

 そして、何よりも、眼を閉じて……手足を伸ばしてみると些細な違いなんて、なんとでもない。

 これは、ずっとずっと入りたくて入りたくて……たまらなかったモノ。そして、叶ったのがこんな超高級のお風呂。
 そう、まるで宝くじが当たる確立だって思える。

(こんな所で手足を伸ばせるなんて……、本当に……夢のよう。―――ああ……《おねえちゃん》じゃないけど……私も思い残す事ないかも……)

 湯舟の中に頭まで浸からせながら、レイナはそう思ってしまっていた。身体を完全に沈めるレイナ。
 
 彼女はこの数日、凄く辛かったのだ。今までに合った大好きな人、とは彼女の。……レイナの姉だった。

 その姉とある日 別れてしまい、危ない道も何度もわたり。無茶もして。それでも、レイナも貴重な時間が失われて行くのも嫌だった。
 でも、常に失われていく貴重な時間だけど、1つだけ思うところがある。
 このお風呂を利用している時間だってそうだし、食べ物だってそう。

 現実の世界でこれ程までにもの恋しくする
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