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DQ1長編小説―ハルカ・クロニクル
Chapter-1 第2話
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ーがやるんだがな。戦士団の者でも知らない奴は多いし」
道具屋の男はそう答えた。
「僕も知りませんでした」
「ああ。それじゃお前は出来が良かったんだな。それか真面目だったか」
どことなく、武具屋の親父と似ている、とハルカは思ってしまった。まあ、どちらも中年男性で、違いは体格と髭の有無だけなのだが。
「…かもしれませんね。では、それ、頂けませんか」
「まいどっ。結構売れているんだぜ、“竜の鱗”。買って損はしない。盾を嫌う奴は必ずこれを買う。人によっては皮の盾より経済的という奴もいるくらいだからな」
「へえ、じゃあ、僕もいただきますよ」
ハルカは竜の鱗を購入し、首にかけた。
「似合ってるぜ」
「ありがとうございます」
「あ、これはサービスだ」
道具屋の男はハルカに氷水の入ったのビンを渡した。ビンは青透明で、丈夫に出来ている。職人が魔法をかけているため、保冷保温効果がある。
「今日も暑いからよ。ぶっ倒れないよう気をつけな」
「心遣い、ありがとうございます」
目的の一つ、道具屋を後にした。

旅に必要な食料品や日用品も購入後、ハルカは城下町の外に出ようと宿屋にさしかかった時だった。
「あら、あなた、竜王討伐を命じられた人でしょう?格好いい格好しているし。ローラ姫も助けるんでしょう?」
突然、小柄な少女が話しかけてきた。見た目は茶髪で茶眼、町娘らしいシンプルな五分袖のワンピースを着ていた。
「…そうですが?あなたは一体」
「私?この町に住むマーラよ。あなたの事、気に入っちゃった…きゃっ」
ハルカはマーラの積極的な様子に困惑気味であった。
「ついていっちゃおっかな。いい男だし」
「……好きにしてください」
断っても無駄だろうと判断したハルカはそう答えておいた。
「やった!ねえ、お兄さん名前は?」
どうやらハルカより年下のようだ。
「…ハルカ」
「ハルカね。素敵な名前じゃない」
「それはどうも…」
やはりハルカはマーラに困惑していた。
(どうも……ねえ)
積極的なマーラに苦笑しながら、町を歩く。

その後もいくら歩いてもマーラは付いてきた。
町の人がからかうとハルカは、
「違います。この人が勝手についてきただけです」
とキッパリと強く返した。
マーラはそんなハルカの態度にも全く気にすることはなかった。
「その通りよー」
と楽しそうに言うだけだった。
(変わった人だなあ)
ハルカは苦笑いしていた。

そんなこんなで10分近く歩いたところ。
「あ、」
「どうしたの?」
「ゴメンだけど、君はどこかに言ってくれないかな。僕は用事を思い出した」
マーラは少しふくれっ面を見せたが、しつこい女ではなかったようで、
「分かった。楽しかったわ!」
すぐに笑顔で手を振り、走り去っていった。

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