§46 圧倒する力
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事など忘れて俺に跪け。俺に仕える巫女となれ」
背中まで伸ばした髪を揺らし、美青年が謡うように言葉を紡ぐ。その瞳は髪と同じ、見るものを陶酔させる葡萄酒色。敬愛する義姉以外全ては己の巫女である、という持論を持つ狂乱の貴公子はなれなれしく、自然な動作で羅刹女の肩を抱く。
「汚らわしい、触るな!!」
罵倒する羅刹女だが、ディオニュソスは全く意に介する気配を見せない。
「俺に仕える女は皆そういう。が、それは最初だけだ。何、女は生意気な位が丁度良い」
気障ったらしく嘯いて、瞳が更に妖しく輝く。眼前の女の思考を犯さんと。
――――――この男に従え。それは最高の栄誉だ。其れは甘美な美酒だ。其れは究極の贅沢だ。
「違う!! コイツらは、あの人の仇!!」
思考が塗りつぶされるなか、それでも頑強に抵抗する。だが、目の前の男はそれを踏みにじり蹂躪する。
「ふふふ。いつまで持つかな」
本来神の洗脳は不可能に等しい。だが、ディオニュソスの権能は基本的に女性限定だ。対象が限定されているからか、権能の力は強大無比。更に、こちらは黎斗からの莫大な呪力のバックアップが存在する。大してあちらは召喚の依代になった牛魔王が消滅。バックアップは望めない。
「フフフ、強引というのは良いものだな」
熱を帯びた表情で語る彼の神に、抵抗できない。何も考えられなくなっていく。
「ああああああああああああああああああああああ!!!」
絶叫を最期に、羅刹女の意識は途絶えた。
「さて、俺の巫女よ。その団扇を煽げ。屑どもを吹き飛ばせ。汚れた虫けら共を生かして返すな」
「畏まりました」
ディオニュソスの命に従い、羅刹女が芭蕉扇を振るおうとして――飛来した斬撃に芭蕉扇を破壊された。
「ん?」
「やぁ、久しぶりだねディオニュソス。君、前はそんな性格じゃなかったと思うんだけど」
一撃で羅刹女の主力を破壊した剣の王、かつて対峙した神に語りかける。
「なんだ。いつぞやの剣馬鹿か。俺の性格なんか知らねぇよ。記憶はともかく性格は黎斗が対峙した時のモノが再生してるんだからよぉ」
理解できるものは存在しないであろう言葉で回答し。
「てめぇ、俺の女に手ぇ出しやがって。お前は俺が、と言いたいところだが」
残念そうに、ディオニュソスは勝ち誇る。
「お前、俺んトコ来たら駄目だわ。黎斗を止めないと、どうしようもないぜ?」
その言葉にハッとするドニだが、もう遅い。彼の視線の遥か先、複数の神々に囲まれた黎斗の手には、不吉に煌めく神殺しの槍。
●●●
「ロンギヌス、汝が力を我に示せ」
黎斗の言葉を引き金として、ロ
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