GGO編
百十九話 これからもよろしく
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を囲む草むらに投げ込んだ。
「自殺は、出来ねえな!」
「…………」
ニヤリと笑った涼人を唖然とした顔で恭二は見る。そしてそんな彼に隙を与えず……
「新川君」
「え?」
不意に至近で名前を呼ばれて、驚いたように振り向いた新川に……
パァンッ!
と、聞き慣れた銃声ではない。皮膚が皮膚を叩く際に起こる破裂音が寒空の中高らかに響いた。
「…………!」
大きく顔を右に捻った新川は、赤くなり、衝撃でジンジンと痛む頬を抑えながらゆっくりと首を元に戻す。其処に、眼鏡の向こうから自分を睨み付ける少女が立っていた。
「……何してるのよ……」
「…………」
正面から睨みつけてくるその瞳に、恭二は何も返すことも出来ずに、只黙り込む。
「何でそんなものを……自分に向けるのよ……死ぬって、自分で言ったんじゃない……死にたいの……?」
「……そうだよ」
呟くように聞いた詩乃の問いに、新川は漸く肯定を返した。
そしてその言葉に、詩乃は目を見開く。
「僕は……死ななきゃいけない」
「ッ……」
はっきりと口に出されたその言葉に、詩乃は息をのんだ。それに気付いて居るのか居ないのかは分からないが、
「僕は今まで、自分にとって都合の悪い物を何もかも他人の所為にしてきたんだ。学校に通えなくなったのはクラスメイトの所為。受験や模試で上手く行かないのは父さんや母さんの所為、そうやって自分の所為じゃないって子供みたいに駄々こね続けて、GGOに逃げた。現実なんてどうでも良いって思ってた。GGOで最強になれさえすればって……でも……」
恭二は頭を垂れながら、強く拳を握り締める。それはまるで、何かを悔やんでいるようにも見えた。
「でも、GGOでもやっぱり、僕は僕だった……他人の言うことをよく考えようともしないで鵜呑みにして、失敗して、それもやっぱり他人の所為だ……挙げ句の果てに、それを恨んで人殺しの計画まで立てて。笑っちゃうよね……逆恨みも良いところだ……!」
彼の自らへの嫌悪を表すかのように言葉尻は語気の強い物だった。明らかに自分を嫌っている事を伺わせるその言葉に戸惑いながらも、しかし詩乃は何とか恭二を説得しようと試みる。
「でも、でも新川君、それに自分で気づけたんでしょう?なら……きっとやり直せる。まだ引き返せるよ……高認受けて……お医者様になって、お父さんの病院を……」
其処まで言って、詩乃は自分が言葉の選択を間違った事を悟る。新川が、その言葉を聞くと同時に、強く唇を噛んだのだ。
と同時に、新川が懐から一枚の用紙を取り出す。少し折りたたまれたそれを、新川は俯いて詩乃に差し出す。
「新川君……」
「これ、見る?」
その紙を、詩乃は手に取り、開く。それは彼
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