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SAO─戦士達の物語
GGO編
百十九話 これからもよろしく
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何処かには有ったのかもしれない。彼の中に、自分の知らない部分が有ったとしたら、それは……

「…………っ」
その先を想像する事に恐怖を感じて、詩乃は一旦頭の中から想像を追いだす。しかし……そんな彼女の中に、別の疑問が浮かぶ。

ならば何故、先程恭二は唯ケーキを届けただけで帰ったのだろう?

「…………」
ふと、先程もらったケーキが入っている筈の冷蔵庫を見た。まさかあの中に毒でも入っているのか……いや、それならばそれを確認した方が正確な筈だ。
ならばやはり自分は銃に撃たれた無かったから対象から外れていた?いや、それならそもそも恭二が大会が終わってからこの部屋にやってきた事に説明が付かない。

『やっぱり、違うんだ。新川君は……そんな事出来る人じゃない』
それはある意味で単なる希望的観測だったが、しかしそれでも、詩乃は恭二を信じたかった。それはある意味では仕方無いとも言える。冷たく、鉄とコンクリートだらけのこの街で、詩乃にとっての恭二は唯一信じられる人間だったのだ。そんな人間が、殺人者である等、増して、自分の命を奪おうとしたなどとは、到底信じたくは無かった。

「なぁ、詩乃」
「え?な、なに?」
「いや、ホントに何も言って無かったか?いや、あんま俺も彼奴を疑いたいとは思わねぇけどよ、現状彼奴かなりグレーなんだよな……」
「うん……」
言われて、追いだした思考の中から再び先程の恭二の発言を再生する。


『やっぱり、凄いや、朝田さん……シノン……』

自分の知る彼に、おかしい所は無かったか。

『じ、じゃあ、適当に……』

『朝田さん、もしかして疲れてる?』

何時もの彼と、違う所が無かったか

『良かったじゃない、朝田さん。それじゃ今度は、別の方法にする事にしたんだ?』

『申し訳ありません……』

そう言えば……

『ごめん』

何故あの時、自分は一瞬……

『“さよなら”、朝田さん』

ドアを閉めるのを、ためらったのだろう?


「……新川君?」
「あん?」
分かった気がした。分かって、しまった気がした。
あの時恭二が何もせずに自分の前を去ったのは……もしかしたら……

「っ!」
「ちょ、お、オイ!!?ゴッ!?」
突然弾かれたように立ち上がって玄関へと走った詩乃は、そのまま一気に扉を押しあけて外に飛び出す。身体を直撃した冷気は容赦なく詩乃の体に吹きつけたが、そんな物はどうでもよかった。左右を見て、即座にアパートの廊下を走りだす。
ちなみにリョウはと言うと……

「ぐぉぉぉ……!いっつ……いっでぇ……!」
慌てて立ち上がった際に机に向こう脛をぶつけて、凄まじく悶絶していた。

────

「…………うん、こんな感じかな」
新川恭二は、つい
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