十八 告別
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抜ける。ニ・三枚の葉が風に乗って空を舞った。
「帰れ」
「…ちが、そういう意味で言ったんじゃ」
「帰れ」
「ナルトっ」
「お前のいるべき場所はココじゃないっ!東京って所だろうっ!お前はGSなんだろ、こんな世界にいても仕方が無いだろう!!」
口早に言うナルトを横島は呆気にとられて見る。どうして急にそんな事を言うのだろうという疑問と共に、寂寥感が募った。
「…なんでだよ。なんでそんなこと、いきなり言うんだよ」
「いきなりじゃない。言うのが遅過ぎたんだ…本当はもっと早く言うべきだったんだ」
どこか自分自身に言い聞かせるようにしてナルトは言う。けれどその事に気づかず、横島は下唇を強く噛んだ。
沈黙し続ける彼に焦れたのか、ナルトが鋭い視線を投げ掛ける。
「……この世界から帰らないなら、この里から出て行け」
「ナ、ル……」
トと名前を言う間も無く、横島はナルトに抱え上げられた。気づけば、公園にいたはずの彼らは草木の生い茂る森の中に佇んでいた。
その場所に既視感を感じきょろきょろと見渡す横島の隣で、ナルトは大木に突き刺さったクナイを抜いている。何か術式が描かれたそれを彼が仕舞いこんでいる間に、横島は今自分がいる場所を思い出した。
(そうだ。ココ…ナルトと初めて会ったとこだ)
暗部任務中のナルトにクナイを首筋に突き付けられた処。
蒼い炎が地を奔り、咽返るほどの血臭が溢れていた場所は、今見ても木立に囲まれた原野に他ならない。
ぼんやりとほんの一ヶ月前の思い出に浸っている横島の前で、ナルトがくいっとある一点を指差した。
「あそこまで行けば里外だ。ココのルートはこの前殲滅した奴らしか使っていなかったから、今は誰も知らない」
一際大きい木を指差すナルト。彼の指をじっと見ていた横島は拳を震わせながら問い掛けた。
「本気で…言ってんのか…」
「……………」
「それで、お前はどうすんだ」
「どうするも何も俺はこの里の忍びだ」
「こんなっ、お前を閉じ込める檻みてぇな里にずっといるってのかよ!!??」
「檻?違う、箱庭だ」
淡々と言うナルトに、横島は最初出会った時の事を思い出す。同じだと、今のナルトはあの時のように感情を取り払った表情をしていると直感が囁いた。
(コイツはまた…道化を被ってやがる…っ)
益々苛立って横島はナルトの腕を掴む。荒々しく爪を立てて握ったのだが、ナルトは何の反応も示さなかった。
「いいんか!お前はそれでっ!」
「…………」
縋るように掴んでくる横島の手をナルトは振り払う。その行動に、料理を盛った皿を叩き払われた三日目の夜の事が思い出されて横島は眉を顰めた。
「…―――さよなら」
くしゃりと顔を歪めて
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