十八 告別
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「影分身?」
「実体である分身体の事だ。さっき魚が跳ねた時に入れ替わった」
確かに一瞬魚の跳ねた方にナルト以外の面々は気をとられた。しかしそれはほんの二秒足らずの出来事である。その僅かな時間中でやり遂げた彼に、横島は思わず苦笑を漏らした。
「そりゃ便利なこって……――――ところでいいのか?こんなところで素に戻って…」
「問題ない。周囲に結界を張った。傍目には無人の公園に見えるだろうな」
「…まあいいや。今日は暗部の仕事は無いのか?」
「あるがまだ時間ではない………お前と話がしたかった」
「へ?話?」
眼をパチクリする横島の隣のブランコに、ナルトは再び腰掛ける。足の爪先で地面を掘っているその様は年相応の子どもに見えた。
「……ハヤテの様子はどうだ?」
「うん?別に普通だよ。文珠を使ったから怪我もきれいさっぱりだし」
それにあの人何気にスパルタだしなと鍛錬に関する愚痴を内心呟いた横島の顔をナルトはちらりと窺い見る。
三日間ぶっ通しで任務を終わらせたナルトは当初の予定通り病院で眠る影分身と入れ替わった。我愛羅がリ―の病室を襲撃するという予想外のハプニングはあったが、後はおおよそ筋書き通りである。そして見舞いに来てくれていたシカマルと一緒に帰っている途中に横島と会ったのだ。
掃除の件が済んでから、暗部任務に追われていたナルトはなかなか帰る事が出来なかった。
ハヤテの看病を横島に丸投げしてしまったという罪悪感が彼の心を締め付ける。しかし文珠という言葉にぴくりとナルトは眉根を寄せた。
「乱用し過ぎているんじゃないのか?」
「え、何が」
「その、文珠の事だ」
突然咎められた横島は、困ったように目尻を下げる。なぜかナルトは横島が文珠を使う事に抵抗があるようだ。ハヤテの治療を渋ったのがいい例である。
「それは、そうだけど――でも文珠のお蔭で命を救われた事も何度もあるし……」
「……記憶を見させてもらった際に思っていたんだが、文珠が原因で大変な事になるのが多々あっただろう?お前自身の命に係る状況ならともかく、滅多に使うものじゃない」
言い方はぶっきら棒だが思いの外心配しているのがわかり、横島は内心苦笑した。
(わかりにくいっつ―の)
横島の記憶によりナルトは、?文珠を生成できる彼の力は下手に転ぶとデタント〈緊張緩和〉の崩壊を引き寄せかねない?という前提のもと、彼が一部の上級神魔族から常日頃から命を狙われる羽目になった事を知っている。それ故ナルトは、文珠の能力を持つ横島の身を案じているのだろう。
「………よっと」
ブランコからのめり込むようにして降りた横島は、ナルトが漕ぐブランコの後ろに回った。途端、神業とも言える速さで、横島の顎下にクナイが添えられる。
ナルトは背後を決して許さ
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