十八 告別
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とこの班はほんとメンドくせーこって」
金の髪がぽわぽわと、たんぽぽの綿毛のように揺れている。その隣で相槌を打つ黒髪が苦笑していた。
「あ」
全身オレンジ色の服という派手な出で立ち。素とは真逆の明るさで朗らかに笑う子どもに横島は思わず声を上げた。
はっと口を押さえる。以前崖からナルトを突き落とした大柄な男の姿が脳裏に浮かび上がり、横島は呼び掛けるのをぐっと抑えた。
あの時も名前を呼んでしまった事でナルトに迷惑が掛かってしまった。だから素知らぬふりをして通り過ぎようと横島は買い物袋を持ち直す。
それでも視線はナルトのほうについ向けてしまう。そしてナルトの隣を歩いている子どもに興味を持った。
里人と違い、ナルトに対して自然と接しているその子ども。仲良さげなその様に横島は目を瞬かせた。
ついマジマジと見ていたようで、髪を頭の天辺で纏めている黒髪の子どもが胡散臭げに此方を見ている。子どもらしからぬその眼つきの鋭さに、横島は思わずたじろいだ。
その時ぽちゃんと水音がした。どうやら川の魚が跳ねたようで、横島とその黒髪の子どもは一瞬そちらに目を向けた。堤防下の川の一角で水の波紋が小さく輪を描いている。
「行こうぜ、ナルト」
「あっ、待てってば。シカマル」
黒と金が通り過ぎる。黒髪の子どもがさりげなく金髪の子どもを庇うように横島の隣をすり抜けて行った。
「………なんだ。友達、いるじゃんか…」
その後ろ姿をぼんやり眺めていた横島は、買い物袋を無意識に持ち直す。傍の木がさわさわと揺れていた。
なんとなく、ふと立ち寄った公園。
夕陽に照らされ赤色に染まる遊具からは長い影が伸びている。
買い物袋を傍の鉄棒に括り付けて、横島はブランコに腰を下ろした。思ったよりも窮屈なブランコが、否でも応でも自分の身体が大きくなった事を実感させる。
「……もう明日でひと月かぁ…」
横島が木ノ葉の里並びこの世界に来て既にひと月。時が経つのは本当に早いと思いながら、ブランコをゆっくりと漕いだ。キーキーと軋む金具の音が人気のない公園でやけに響く。
「――何やってんだってばよ?」
隣から突如聞こえてきた声に、横島は漕ぐのを止めた。
何時の間にか金髪の子どもが隣のブランコを立ちながら漕いでいる。座っている横島より若干高い位置にある金の髪を揺らして、彼はにししと笑った。
「…友達はいいのか?」
「友達?誰の事だってばよ?」
横島の問いに、きょとりと瞳を瞬かせて子どもはぴょんとブランコから跳び降りる。横島の前で仁王立ちしたかと思えば、急に子どもを纏う雰囲気が変わった。
「シカマルなら俺の影分身と一緒だから大丈夫だ」
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